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エリクソン、ネットワークを快適利用へキャリアアグリゲーションやコンバインドセルなどのデモ

2013.02.27

Updated by Naohisa Iwamoto on February 27, 2013, 10:53 am JST

Mobile World Congress 2013(MWC 2013)のエリクソンブースでは、LTEなどのネットワークを快適に利用できるようにするため、さまざまな技術的な提案をデモなどで示していた。

1つは、LTE-Advanced(参考情報)の主要技術であるキャリアアグリゲーション(参考情報)のLTEへの適用。10MHz帯の帯域を異なる周波数で2つ束ねて利用することで、合計で150Mbpsのデータ通信を可能にする。デモでは、ビデオを転送してキャリアアグリゲーションによる高速伝送を試験し、実際に115Mbpsほどのスループットが得られていることを示した。説明員によれば前日までの状況ではより高速な数値が得られていたが、MWC 2013の開幕で電波環境が悪化したために115Mbps程度まで落ちてしまったとのこと。

▼LTEのキャリアアグリゲーションを実機で試すデモでは約115Mbpsのスループットが得られた20130226_Ericsson001.jpg

セル境界でのスループット低下を防ぐためのアイデアとして、「コンバインドセル」が紹介されていた。通常は隣接するセルでは異なるセルIDを使うため、セル境界をまたいで端末が移動するような場合はハンドオーバーが生じてスループットが一時的に低下する。これを防ぐために、隣接するセルで同じセルIDと周波数を使い、セル境界をまたいで異動してもあたかも同じセルにいるように見せる。展示ではコンバインドセルを使うことで、セル境界をまたいで端末が移動してもスループットの落ち込みが少なくて済むというデータを示していた。一般的にどこでも利用できるソリューションではないが、例えば高速に移動する鉄道や道路に沿ったセルで適用することで、快適な利用環境を提供できるという。

▼「コンバインドセル」を使うとグラフ上部の測定値のようにセル境界のスループット低下を防げる20130226_Ericsson002.jpg

ハンドオーバーの側面では、TDD-LTEとFDD-LTEのネットワーク間のハンドオーバーを実現するデモも行われていた。デモはTDD-LTEとFDD-LTEのデュアル端末を用い、双方のネットワークの電波強度をアッテネーターで調整することで擬似的にハンドオーバー環境を作り出す。TDD-LTEからFDD-LTEにハンドオーバーしても、動画が止まることなくデータ通信が継続できることを実演していた。

▼TDD-LTEとFDD-LTEのハンドオーバーを実演するデモ装置20130226_Ericsson003.jpg

最後に、Wi-Fiオフロード(参考情報)に活用するための技術提案の展示もあった。スマートフォンがWi-Fiスポットに近づくと、3G/4Gのモバイル回線からWi-Fiに回線が切り替わる。この際、現行はWi-Fiのスループットや接続が十分な環境でなくてもWi-Fiの電波をつかんでしまい、Wi-Fiに接続したがためにスループットが落ちたり通信不能になる事態が生じる。エリクソンでは、Wi-Fiが十分に利用できる状況までモバイル回線から切り替えないようにする制御技術を開発していることを示した。

▼モバイル回線からWi-Fiへの切り替えを適切に制御する考え方を示した20130226_Ericsson004.jpg

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。