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[2013年第7週]LTE-Aやスマホ間Wi-Fi伝送など新技術、広告や地下鉄駅で新サービスが続々

2013.02.18

Updated by Naohisa Iwamoto on February 18, 2013, 11:00 am JST

月曜日が祝日で営業日が4日だったこの週、「新しい」技術やサービスに関する発表が相次いだのが目についた。技術では、LTEの次世代通信技術「LTE-Advanced」(参考情報)の実証実験の結果や、Wi-Fiを使ってスマホ間でメッセージをリレーする新方式の実証が発表された。また、画像認識を使った新しい広告アプリや、地下鉄駅の無線LAN環境を使って地下鉄利用者に情報を提供得る新しいサービスも提供がアナウンスされた。

セル境界の速度向上、災害時の通信に、鉄道に新システム

まず新しい技術に関連する発表から紹介する。1つは、ソフトバンクモバイルが発表したLTE-Advancedの主要技術である「複数基地局間協調伝送技術」の実証実験の結果。これを用いることでセル境界などにおけるスループット向上の効果が得られる。2種類の実証実験の結果、複数の基地局が協調して同じデータを送信する「CoMP」では、セル境界の下り伝送速度を約2〜3倍に向上できた。また、複数の基地局が協調して一部基地局からの送信を停止する「ECO-LTE」では、セル境界の下り伝送速度を約2倍に向上できた。ソフトバンクモバイルでは、東京都江東区お台場地区で2012年5月から実証実験を実施してきた(関連記事:ソフトバンク、LTE-Advanced技術の実証実験でスループット向上の効果を確認)。

災害時などに役立つ可能性がある新技術が東北大学から登場。東北大学大学院情報科学研究科は、キャリアの携帯電話回線を利用することなく、スマートフォンのWi-Fi(無線LAN)通信だけでメッセージをリレーすることに成功したと発表した。災害時などに携帯電話回線がつながらない状況でも、スマートフォンを介してメッセージをリレーして伝えられる可能性を示した。この研究は、東北大学大学院情報科学研究科の加藤寧教授、西山大樹准教授らの研究グループが行ったもの。2013年2月8日に東北大学青葉山キャンパスで、スマートフォン27台を利用して、Wi-Fiだけでメッセージをリレーする実験に成功した(関連記事:東北大学、キャリアの回線を使わずスマホのWi-Fiだけでメッセージリレーに成功)。

次はソフトウエア無線を鉄道の列車無線システムに導入するニュース。NECは、小田急電鉄に、SDR「Software-Defined Radio」(ソフトウエア無線)技術を採用した新しい列車無線システムの納入を開始した。2016年7月の全面稼働に向けて、順次納入する予定だ。新システムにより、首都圏の過密ダイヤに伴う列車の安全走行の実現と、総務省の「周波数再編アクションプラン」に基づく列車無線のデジタル化による高度化を目指す。新システムは、相互乗り入れする関東の鉄道事業者がデジタル列車無線導入を期に作成する共通仕様に基づいた初めてのシステムとなる。ソフトウエア無線を採用することで、1台の無線装置で相互乗り入れする各線の機能に対応できるようにする。さらに新システムでは、現行のアナログ方式からデジタル方式に変更することで、音声通話だけでなく、データ通信可能になる(報道発表資料:NEC、小田急電鉄に新列車無線システムを納入開始)。

小田急電鉄の新列車無線システム
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かざす広告、情報を入手できる駅──新サービスの展開

サービス面でも新しい動きがあった。博報堂は、スマートフォンを従来の広告にかざすだけで商品の詳細情報やサービスコンテンツをユーザーに提供できる広告体験プラットフォーム「広告+」のサービスを開始した。iPhoneアプリを提供し、テレビや新聞・雑誌、看板、ポスターなどの画像を認識することで、既存の広告出稿スタイルを変えたりQRコードや特殊な画像を埋め込んだりすることなく利用できるようになる。閲覧者は広告に関連する便利な情報や特典を得られるメリットが生まれる(関連記事:博報堂、既存広告にかざして詳細情報などに誘導するスマホアプリ「広告+」を提供)。

東京メトロとエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)は、東京メトロの駅構内無線LANを活用した情報サービス「MANTA」を全駅で試験的に提供すると発表した。試行期間は2013年2月14日〜7月31日。MANTAは、Metro Amusement Network Trinity Appの略で、専用アプリをインストールしたスマートフォンを持つユーザーに対して、駅構内無線LANを使って現在いる駅の時刻表や構内図といった情報が自動的に配信される。サービスエリア内では、当日のニュース動画やトレンド情報などの配信も受けられるほか、無料でインターネット接続のサービスも利用できる(関連記事:東京メトロ、駅の無線LANで駅の情報などを提供する「MANTA」の試行開始)。

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UQが400万契約、超小型マイクロ波通信製品、電子書籍は半数以上が利用済み

このほか、この週にあったニュースのトピックを紹介する。

UQコミュニケーションズは、2月9日にUQ WiMAXサービスの累計契約数が400万件を突破したと発表した。UQ WiMAXは2009年7月1日に有料サービスを開始、2011年6月に100万契約を突破してからは、2012年2月に200万、同年7月に300万契約を達成するように約半年で100万契約を上積みする勢いで利用者を増やしてきた。300万から400万件までの100万契約は7カ月弱を要しており、前の100万契約の5カ月弱より少し伸びのペースが落ちているものの、順調な推移を示している(報道発表資料:UQ WiMAXサービス 400万契約突破について)。

NECは、世界最小・最軽量の超小型マイクロ波通信システム「iPASOLINK」の屋外無線装置(ODU: Out Door Unit)を海外向けに発売する。新製品は、部品の小型化や回路の高集積化、高密度設計をすることで、容量が従来比約3分の1の1リットル、重量が従来比約2分の1の2kgという小型軽量化を実現した。鉄塔やビルの屋上などスペースが限られている場所での工事が容易になり、モバイルバックホールネットワーク網の柔軟な構築に貢献する。また、従来比で最大30%の低消費電力も実現した(報道発表資料:NEC、世界最小・最軽量のiPASOLINK向け屋外無線装置を発売)。

世界最小・最軽量のODU
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MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は、「電子書籍に関する利用実態調査(1)」を実施し、結果を発表した。電子書籍の利用状況は(N=564)、「無料の電子書籍を読んだことがある」が34.6%、「有料の電子書籍を読んだことがある」が6.2%、「無料・有料、両方の電子書籍を読んだことがある」が16.0%だった。合わせて56.8%の人が電子書籍を利用したことがある。一度でも電子書籍を利用したことがあると回答した人(N=320)に電子書籍の購読頻度を聞いたところ、「試しに読んでみた程度」が39.1%、次いで1カ月に「1冊〜2冊」が25.6%で1カ月に1冊以上電子書籍を読むという回答は43.2%だった(報道発表資料:電子書籍の利用経験は56.8%、電子書籍の購読頻度、1ヵ月に1冊以上が43.2%)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。