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[2013年第23週]イー・アクセスがLTEのキャリアアグリゲーション実験、ドコモは新アプリを提供

2013.06.10

Updated by Naohisa Iwamoto on June 10, 2013, 12:00 pm UTC

イー・アクセスは、LTEの高速化、高度化に向けて、複数の周波数帯をまとめて利用できる「キャリアアグリゲーション」(参考情報)などの実験を開始する。5月の事業者別契約数が発表になり、NTTドコモは前月の微増から10万件弱の純増へとやや反転した。ビックカメラは月額945円から使えるLTE&無線LANサービスを開始する。

今後のネットワーク構築に向けて

イー・アクセスは、LTEの高速化に向けた実験のため、総務省へ1.7GHz帯実験試験局の申請を行った。実験では、総務省が周波数アクションプランで新しく確保する1.7GHz帯と、隣接するイー・アクセスの既割当周波数を使用し、キャリアアグリゲーションなどのテストを行う。期間は、実験試験局免許取得後、2013年8月〜2013年10月で、試験局は香川県内に設置する。実験内容は、キャリアアグリゲーションの検証、下り300Mbps(20MHz幅、4×4 MIMO)の検証、下り150Mbps(20MHz幅、2×2 MIMO)の検証だ(報道発表資料:1.7GHz帯でのLTE実験(下り300Mbps)に向け実験試験局免許を申請)。

次世代ネットワークの要素技術についての説明もあった。エリクソン・ジャパンは、報道関係者向けの技術説明会を開催し、「ヘテロジニアスネットワーク(HetNet)に対するエリクソンの取組み」について解説した。エリクソン・ジャパンでチーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)を務める藤岡 雅宣氏は、トラフィック急増への対策としてHetNetによる容量増大は有効な手段としながら、「単に小セルを配置すればいいというものではない」との見方を示した(関連記事:HetNetにおけるアウトドアの小セル設置の効果は限定的--エリクソン藤岡CTO)。

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さらに将来を見据えた技術研究の発表もあった。NTTは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所(以下、NTT研究所)の研究成果を、都内で報道陣に公開した。これは6月7日、8日に京都府相良郡精華町のNTT研究所施設で実施した研究所の一般公開「オープンハウス2013」に先駆けたもの。オープンハウス2013で展示する4カテゴリー、30点の研究成果のうち、ビッグデータを活用したデータ解析やプライバシー確保、音声処理技術を使ったデモなど7点をピックアップし、デモを交えて研究成果を披露した(関連記事:NTT、ビッグデータ活用や音声処理など基礎研究の成果を公開)。

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ドコモ、5月はやや復調、新アプリを次々

電気通信事業者協会(TCA)は、2013年5月末の携帯電話などの事業者別契約数の統計数値を発表した。携帯電話キャリア別の純増数は、ソフトバンクモバイルが引き続き首位。前月、わずか1300件の純増だったNTTドコモは9万1800件の純増となった。「ツートップ」を全面に打ち出し大々的なプロモーションを展開しているドコモだが、今のところ効果は薄いようだ(関連記事:ドコモ、やや復調するものの引き続き苦戦--5月の事業者別契約数)。

そのNTTドコモは、新しいアプリを続けて発表し、ユーザーへのアピールを続けている。施策の1つは、パノラマ写真を手軽に作成できるスマートフォン向けアプリケーション「動くパノラマフォト」のトライアル提供。画面の表示に従ってカメラを動かして写真を撮影すると、複数の写真をクラウド上で認識・補正してパノラマ写真を作成できる。最大の特徴は、パノラマ写真の一部を指定することで、動画に置き換えられること。動画と音声を含めたパノラマ写真で臨場感を高められる(報道発表資料:「動くパノラマフォト」のトライアル提供を開始)。

「動くパノラマフォト」のトライアル提供を開始
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もう1つは、美容支援アプリ「美肌UVミラー」の提供開始。アイスタイルの協力により、ドコモ環境センサーネットワークで観測した紫外線情報(UV情報)と、アイスタイルが運営する日本最大の化粧品・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」が提供する美容情報を活用したもの。スマートフォンの"自分撮り"機能により手鏡として使えるアプリで、6段階の背景色によって美容に影響があるUV情報も確認できる(報道発表資料:美容支援アプリ「美肌UVミラー」の提供開始)。

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低廉なLTE、NFC利用の020実験、ワイヤレスジャパン開催

このほかのトピックを紹介する。ビックカメラは、LTEに対応したデータ通信サービスに加え、オリジナル特典として公衆無線LANが利用できるビックカメラオリジナルSIMカード「BIC SIM powered by IIJ」を6月14日から提供する。IIJのMVNOサービス「IIJmio」をベースにしたもの。データ通信料は最安のミニマムスタートプラン(月間500MBまで)で月額945円。各プランで決められた月間通信量の制限を超えると通信速度が上り下り最大200kbpsに制限される(関連記事:ビックカメラがLTE対応のSIMカードを提供開始、公衆無線LANの特典付き)。

大日本印刷とCyberZは、大学キャンパスに設置するNFCスマートポスターを活用したO2Oプロモーション支援サービスを開始する。CyberZはサイバーエージェントグループでスマートフォン広告とマーケティングを手掛ける子会社。DNPがNFCスマートポスターを提供し、CyberZが広告プランの立案と効果検証を行う。NFCスマートポスターとは、NFCフォーラムが規定したアプリケーションで、NFCタグを貼り付けたポスターやPOPなどに利用者がNFC搭載スマートフォンをタッチすることで関連情報を配信できる(関連記事:大日本印刷とCyberZ、大学キャンパスでNFCを使ったO2Oプロモーションを展開)。

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2013年5月29日〜31日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレスジャパン2013」と、併催の「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2013」のトピックのフォトレポートを掲載した。ワイヤレスジャパンに初出展のMozilla Japanのブースは、新OS「Firefox OS」を搭載した機器の使い勝手を試そうとする来場者で熱気がこもっていた。KDDI研究所のブースでは、複数のアンテナを送受信で同時に使う「MIMO」の効率を向上させた「Advanced MIMO」の技術展示があった。NTTのブースでもマルチユーザーMIMOの研究成果が展示されていた(関連記事:フォトレポート:高速インフラやスマホ新OSなど将来を見据えた技術──ワイヤレスジャパン2013)。

ワイヤレスジャパン2013と併催されたワイヤレス・テクノロジー・パーク2013では、災害に強いネットワークの展示が相次いだ。KDD研究所のブースでは、複数のネットワークから選択して通信できる「重層的通信端末」など研究成果を展示していた。情報通信研究機構(NICT)のブースには、「メッシュ接続対応コグニティブ無線ルータ」の展示があった。NECのブースにはソフトウエア無線技術を使った「大規模災害時での通信を確保する次世代型緊急モバイルネットワーク無線機」が展示してあった。沖電気工業のブースでは、クルマを通信のグリッドとして活用する「災害時車両通信ネットワークシステム」の展示があった(関連記事:フォトレポート:災害時の通信インフラ確保の解を提案──ワイヤレス・テクノロジー・パーク2013

昨年の第23週のできごと

・ソフトバンクが依然好調、イー・アクセスから150Mbps対応ルーター
・スカイツリー展望台で通信! ドコモの海外パケホが全事業者対応に
・災害や放射線への対応、法人向け内線サービスも拡充

[2012年第23週]純増首位のソフトバンクに迫るのは? 150Mbpsの超高速ルーター発表

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。