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日本のモバイルネットワーク、現状のLTEでは2016年にキャパシティが不足--NSN予測

2013.10.31

Updated by Naohisa Iwamoto on October 31, 2013, 19:46 pm JST

ノキア ソリューションズ&ネットワークス(以下、NSN ジャパン)は2013年10月30日、プライベートイベント「eXperience Day2013」を開催し、記者発表会を実施した。その中で、日本のモバイルネットワークについて、すべての利用可能な周波数を使っても、マクロセルのLTEでは2016年~2020年にキャパシティが不足するという予測が紹介された。

最初に挨拶に立ったNSN ジャパン代表取締役社長のユハ・ペッカ・タカラ氏は、「社長になって1年が経った。その間にNSNはノキアによって完全に所有され、ロゴも名前も変わった。しかし"NSN"には変わりなく、モバイルブロードバンドのスペシャリストになろうとしている」とNSNの取り巻く環境を説明。その上で、「NSN ジャパンは日本のすべての主要な事業者に提供している唯一の外資の事業者。日本で事業を展開したことから品質向上に日本流の"カイゼン"を取り入れるなどしており、今後も顧客の必要とするソリューションを提供していく」と語った。

次に登壇したNSN本社のリサーチ&テクノロジー バイスプレジデントのラウリ・オクサネン氏は、NSNが取り組む技術ビジョンとして6つの課題、「1000倍にふくらむトラフィックへの対応」「遅延の低減」「ネットワークの自動化」「エネルギー消費の削減」「モバイルネットワークのクラウド化」「ネットワーク体感の向上」を紹介した。特に1000倍のトラフィックへの対応へは、無線効率と周波数、アクセスポイントの密度のそれぞれを現状の10倍に引き上げることで、掛け合わせると1000倍のキャパシティが得られるという考え方を示した。

▼日本のモバイルネットワークのキャパシティ予測を紹介するハリー・ホルマ特別研究員20131031_nsn001.jpg

同じくNSN本社の無線システムパフォーマンス特別研究員であるハリー・ホルマ氏は、モバイルネットワークのキャパシティについてのケーススタディとして、日本の例を示して説明した。「日本では、モバイルのデータトラフィックはすでに月間150PB(ペタバイト、GBの100万倍)に達している。日本の人口で割ると1人が1カ月に1GBを超えるトラフィックを使っている計算になる。日本で利用できる周波数と基地局をすべてLTEにした場合の最大ネットワークキャパシティは2000PB~3000PBと見込まれ、潜在的なネットワークの成長力は14倍~26倍に上る」と語る。一方で実際のユーザートラフィックの成長は、現状では年間100%で伸びており、マクロセルを使った現状のLTEでは「100%成長のままだと2016年、控えめに50%成長と見積もっても2020年にはキャパシティが不足する」と、スモールセル(参考情報)などを組み合わせたより効率の高いネットワークの必要性を論じた

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。