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KDDI、韓国の電子マネー「Cashbee」提供:電子マネーは国境を越えるか

2013.11.28

Updated by Hitoshi Sato on November 28, 2013, 11:45 am UTC

KDDIと韓国のEB CARD CORPORATION(イービーカード)は2013年11月6日、韓国で提供しているプリペイド式電子マネー「Cashbee (キャッシュビー)」をauスマートフォンでも利用できるようにすると発表した。利用開始は2014年3月を予定している。

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KDDIのスマホを持って韓国で「Cashbee」を使ってショッピング

「Cashbee」は、韓国で提供されているプリペイド式の電子マネーサービスで、NFC搭載のスマートフォンに対応しており、タッチするだけで簡単に買いものが可能。2007年7月より韓国国内で提供が開始され、ロッテグループのデパートやコンビニなど韓国全土で7万店舗に導入されており、2013年5月時点で約500万人が利用している。

KDDIの提供するNFC搭載スマートフォンにCashbeeが対応することで、日本のユーザーは韓国に訪れた際に、おサイフケータイのような感覚で手軽に決済できるようになる。KDDIは今後も、日韓のサービス事業者との連携により、NFCサービスの普及拡大を進めていくとのことである。

イービーカード「Cashbee」に関する今までの日本での動向

今回、KDDIとイービーカードの提携が発表されたが、イービーカードに関する日本との関係はこれが最初ではない。最近の動向として以下の2つがあった。
(1)2012年10月にはNTTドコモが韓国の通信事業者と提携して同様に「Cashbee」利用の検討を行うことは合意している。
(2)2013年6月にはSBI AXESがイービーカードとNTTドコモとともに「Cashbee」の日本展開について覚書を交わした。これによると、 日本人ユーザー向けの「Cashbee」アプリをイービーカードが開発し、アプリを利用できるNFC対応スマートフォン端末をNTTドコモが開発、販売することになっている。
このようにイービーカードの「Cashbee」に関するリリースはよく見かけるものである。

世界中で乱立する電子マネーは相互乗り入れできるようになるのか

「Cashbee」はいわゆる電子マネーである。そこにクレジットカード経由でチャージして、店舗で利用する。日本で言うところの「Edy」や「Suica」のようなサービスである。日本人が日本(今回ならKDDI)のスマートフォンにアプリをインストールすれば韓国で利用ができる。つまり、本来ならKDDIとかNTTドコモといった通信事業者に束縛されない方が利便性は高いだろう。例えば日本で「モバイルSuica」はNTTドコモのスマートフォンでしか利用できません、となったらここまで社会のインフラとして浸透していないだろう。

また「Cashbee」の日本での事業展開も検討されているようだが、日本には多数の電子マネーが既に乱立している。コンビニで「iDでお願いします」というと店員さんから「Edyですか?」と聞かれて困惑するという経験をした人も多いだろう。

この際、新たに日本に「Cashbee」として進出してくるよりも日本の既存の電子マネーとの相互乗り入れのようなイメージで進出してくる方が得策ではないだろうか。またその反対として日本で何かしらの電子マネーを利用しているユーザーが韓国や他の海外に行った時に、その電子マネーが現地でも利用できるといっそう利便性も向上するであろう。

もちろん決済時における現地通貨の為替、店舗開拓、リーダーライターでの読み取り、ビジネスモデルの整理など解決しなくては課題が山積みであろう。しかし、例えば「Suica」を持っていれば「Pasmo」が利用できる店舗でも買い物ができるように、利用者や店舗販売員の立場からするといくつもの電子マネーを使い分けるよりも、1つの電子マネーで相互に利用できる方が利便性は遥かに高いだろう。例えば、NTTドコモとMasterCardはドコモのケータイクレジットサービス「iD」が、MasterCardが世界で展開する非接触決済サービス「PayPass」の加盟店でも利用できるスマートフォン向けの「iD/PayPass」機能を2014年2月5日より開始することを2013年10月29日に発表した。

これからも電子マネーは日本だけでなく世界中で乱立するであろう。現在は人、物、金、情報の移動が簡単にできることはグローバリゼーションの特徴である。これから世界の電子マネー相互乗り入れして世界中の人たちのショッピングを便利で簡単にしてくれるのだろうか。楽しみである。

【参考動画】
▼韓国におけるNFCの取組み。韓国ではコンビニなどでもクレジットカードもよく利用される。

▼Cashbee 明洞の街を行く

【参照情報】
KDDIプレスリリース
NTTドコモプレスリリース
NTTドコモプレスリリース
SBIプレスリリース
Cashbee

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。