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アフリカ編2013(8)成長が期待されるアフリカでのeコマース

2013.11.07

Updated by Hitoshi Sato on November 7, 2013, 23:00 pm JST

前回のレポートでは、アフリカ特有のコンテンツやサービスを紹介してきた。今回はアフリカでのeコマースを紹介していく。

日本や欧米ではインターネットでショッピングを行う電子商取引、eコマースは日常茶飯事になっている。インターネット登場後の1990年代後半からeコマースは登場し、もう10年以上が経ち、生活のインフラにもなっている。また中国、インド、インドネシアといった新興国でもeコマースは浸透してきている。経済発展に伴う収入増加、インターネットやスマートフォンの普及、都市部を中心とした輸送(ロジスティック)の発展、支払方法の多様化など様々な背景と要因がある。

日本ではあまり着目されていないが、アフリカ諸国においてもeコマースは発展してきている。まだ利用している(利用できる)人は限られているが、ここではアフリカでの代表的なeコマースサイトを記載する。

【代表的なアフリカのeコマースサイト】

■工芸品
eShopAfrica.com
2001年にガーナで設立されたeコマースサイト。ガーナ、マリ、ジンバブエ、エチオピアの工芸品などを販売。
Skinny laMinx
南アフリカのeコマースサイト。雑貨、工芸品などを販売しており、売上の80%以上がアメリカ、オーストラリア。ケープタウンにブティックショップを運営し現在は「etsy.com」になった。
Rwanda Partners
ルワンダのeコマースサイト。宝石、民芸品などを販売している。品質が高くアメリカ市場で人気がある。
Paper Craft Africa
ウガンダのeコマースサイト。ペーパークラフトや工芸品などを販売。
Banana Boat
ウガンダのeコマースサイト。民芸品、工芸品を販売。
African Craft Market
南アフリカのeコマースサイト。民芸品、洋服など商品が豊富に取り揃えている。
Zawadi
南アフリカのeコマースサイト。民芸品、工芸品を販売。
Africa Creative
南アフリカのeコマースサイト。民芸品などを販売。バッグ、宝石、洋服などが人気ある。
Botswana Craft
ボツワナのeコマースサイト。民芸品、工芸品を販売。

■エンタメ
IrokoTV
ナイジェリア版ハリウッド「Nollywood」関連の商品を販売。
TruSpot
アフリカの音楽、ビデオを配信。

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■商品購入
DealDey
ナイジェリアの共同購入サイト。(グルーポンのようなもの)
Rupu
ケニアの共同購入サイト。(グルーポンのようなもの)
Kalahari
ケニアの総合eコマースサイト。(アマゾンのようなもの)
JUMIA
ナイジェリアの総合eコマースサイト。日用品からファッション、電化製品まで幅広い商品が揃っている。(アマゾンのようなもの)
Ushop
ウガンダのeコマースサイト。(オンラインスーパー)
Atsoko
タンザニアのeコマースサイト。(化粧品、美容品を販売)
YuppieChef
南アフリカのeコマースサイト。(キッチン用品を販売)
Buy Correct
ナイジェリアのeコマースサイト。日用品からファッション、電化製品まで幅広い商品が揃っている。アメリカやイギリスの商品も多数扱っている。
Kiosk
ケニアで2005年に設立されたeコマースサイト。日用品から家電まで幅広く扱っており、24時間配送を売りにしている。

■マーケットプレイス
Bidorbuy
南アフリカで1999年に設立されたマーケットプレイス。日用品からゲーム、本、車など多数の商品を消費者向け、ビジネス向けなど豊富に揃えている。

(公開情報より筆者作成)

▼(図1)ナイジェリアの「JUMIA」欧米や日本のeコマースサイトとなんら変わらない品揃えである。2013年8月に立ち上げ、eコマースを後押ししてくることだろう。
201311072300-1.jpg
(出典:JUMIA)

▼スマートフォン用アプリも用意されている。
201311072300-2.jpg

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これからもますます期待されるアフリカのeコマース市場

アフリカにおいてもeコマースは着実に浸透し、人々の生活の一部になろうとしている。さらに、アフリカの民芸品やファッションなどを欧米各国にインターネット上で販売しているサイトも多い。欧米各国には移民や労働者としてアフリカ各国の出身者も多く住んでおり、彼らもまた重要な顧客であろう。また店舗側にとっても、従来のリアルの店舗だけではなくインターネット上でも販売を行うことによって販路の拡大ができる。アフリカでは路上での店舗なども多く存在しているが、中小の店舗ではパソコンやスマホを利用している。まだ自らネットショップを立ち上げるほどの力(資金力、集客力、技術力など)がなくとも、日本の楽天のようにeコマースのプラットフォームを提供しているサイトに出店することによって販売チャネルの拡大が期待される。日本や欧米では当たり前のことのようだが、アフリカではついにそのようなことができるようになったフェーズにある。

しかし、これらeコマースを利用できるのは、インターネット(PC、スマートフォン)を利用できる都市に住む裕福な人々がほとんどである。彼らはインターネットにアクセスして、クレジットカードを保有してオンラインショッピングで様々なものを購入している。テレビでも積極的に広告宣伝している。バイクで商品は配達されることが多く、商品受け渡し時に支払(決済)を行うことが多い。

南アフリカのオンライン・ペイメント・サービスプロバイダー「Pay U」のCEO、Mark Chirnside氏によると、アフリカではeコマースが1年で30%成長しているとのこと。

現在のアフリカのインターネットの普及率は15.6%であり、それらは各国の大都市にほぼ限定されている(参考レポート)。都市と地方の格差は大きく広がってきている。

それでもまだeコマースで商品を購入しても届かない、商品が壊れているなどといった問題も残存している。しかしこれらロジスティック(配送)や支払いの問題は時間とともに解決されてくることだろう。

アフリカには10億人の人々が暮らしている。もちろんアフリカには50カ国以上が存在するから各国によって状況は異なるが、アフリカ開発銀行によると、アフリカに住む3人に1人にあたる約3億1,300万人がミドルクラスである *1。これからも経済が発展するとともに人々の生活スタイルも変化し、購買力はさらに高まりインフラも整備され、アフリカでのeコマースの需要は増加するだろう。現在アフリカにおいてeコマースを利用しているのは都市部の富裕層がほとんどであるが、今後中流層にも浸透していくことだろう。

*1 Afirican Development Bank(2011), Apr 20, 2011
AFDBでは、ミドルクラスを1日2〜20ドルで生活する人と定義している。

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一方でアフリカ諸国における都市と地方、富裕層と貧困層の格差拡大も忘れてはならない。

【参考動画】
アフリカでのeコマースの様子が伝わってくるだろう。配達はバイクで行われ、購入者は富裕層である。

ナイジェリアのeコマースKongaのテレビCM

ナイジェリアJumiaの紹介動画。ここに出てくるのは相当な富裕層であるが、アフリカでの富裕層の生活も垣間見ることができる。

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。