日本では馴染みがないかもしれないがインドでは有名な携帯電話メーカーとして「Micromax」がある。同社は2000年にソフトウェア会社として設立された。インド全土10万以上の場所で販売されている。インドではテレビでも広告しており、街中にもビルボードが多く知名度も上昇している。またiPhoneの「Siri」に対抗した音声エージェント「Aisha」を開発するなどソフトウェアの開発やR&Dにも注力しているインドの地場メーカーである。
そのMicromaxが2014年にはWindows Phone OSを搭載したスマートフォンを提供する計画があると、同社共同創設者のRahul Sharma氏がインドのEconomic Timesのインタビューでコメントしている。マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を買収したことについて触れ、「マイクロソフトがノキアを買収したことはMicromaxにとって大きなライバルであるノキアがスマートフォンではWindows Phoneに特化することである。そしてAndroidの端末を開発することはないだろう、ノキアがもしAndroid端末をリリースしたら、大きな脅威になっただろうが、Androidを出さないのであればMicromaxにとって脅威は少ない」とコメントしている。Micromaxのようなインドの地場メーカーだけでなく、世界中の新興国の地場メーカーは同じことを考えたことだろう。そしてMicromaxとしてはスマートフォン事業の多角化としてAndroid以外にもWindows Phoneのスマートフォンも提供していく計画があることを述べている。
同社はウッタラーカンド州ルドラプールに工場を持っており、そこで製造・組立を行っている。現在は年間2,500万台が出荷、販売されているが、今後は2倍の約5,000万台の出荷、販売を目指していく。
またインドでも有名なMicromaxであるが周辺のスリランカ、ネパール、バングラディッシュでも人気があり、これらの国々でも携帯電話売上トップ3に入っている。そして次の市場としてロシアとパキスタンへの進出を目論んでいるとのことだ。まずは2013年12月にはロシアに進出し、そこをきっかけにルーマニアといった東欧市場への進出を図っていく予定だそうだ。
インドには携帯電話端末メーカーとしてのグローバルメーカーが現在はないのでMicromaxが初のグローバルメーカーになることが目標である、と共同創設者のRahul Sharma氏はコメントしている。
Micromaxはインドの地場メーカーからグローバルメーカーになろうとしている。2013年は日本を代表する携帯電話メーカーNECとパナソニックがスマートフォン市場から撤退した。ひょっとすると近い将来日本でもグローバルメーカーに成長したMicromaxのスマートフォンを利用しているかもしれない。
▼Micromaxのスマートフォンのテレビ広告。インドの地場メーカーというよりもグローバル市場をターゲットとした広告である。インドで多く放送されている。
【参照情報】
・Micromax to launch 4G devices by December-end: Co-founder Rahul Sharma
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。