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[2014年第2週]ドコモ復調へ、ソニーからリストバンド型の端末

2014.01.14

Updated by Naohisa Iwamoto on January 14, 2014, 12:30 pm JST

グローバルでは米国で開催された「2014 International CES」の話題で盛り上がった年明け、国内では落ち着いた仕事始めの1週間だった。毎月恒例の携帯電話契約数では、2013年12月にNTTドコモが2年ぶりに純増首位に返り咲いたニュースがあった。ソフトバンクモバイルは携帯電話サービスで通信トラブルが発生し、一時つながりにくい状況になった。ドコモの米国子会社が現地でヘルスケアソリューションを提供、ソニーがリストバンド型の端末を投入するなど、モバイルヘルスに関連する話題もあった。

ドコモが純増首位、ソフトバンクでトラブル

事業者別契約数(2013年12月末現在)
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まずキャリア関連のニュースから見ていこう。電気通信事業者協会(TCA)は、2013年12月の携帯電話契約数を発表している。それによると12月の純増数は、NTTドコモが27万9100件で、前月の9万3400件から大きく伸ばした。iPhoneの安定供給とAndroidの冬モデルの投入が功を奏したようだ。KDDIの純増数は22万2600件、ソフトバンクモバイルは22万4300件と僅差ながらソフトバンクモバイルが上回った。とはいえ、ソフトバンクモバイルの12月の純増数は商戦期としては低調で、2013年通年でも最低の数値にとどまった(関連記事:ドコモが2年ぶりに純増首位を奪還、2013年12月の携帯電話契約数)。

トラブルのニュースもあった。ソフトバンクモバイルは、1月9日14時頃から15時37分まで、全国で同社の携帯電話サービスが利用しづらい状況となっていたことを発表した。同社では障害は15時37分に復旧したとしている。全国の一部ユーザーで、データ通信と通話の両方がつながりにくい状況となっていた。原因は通信設備の故障という(関連記事:ソフトバンクの携帯電話、全国で通信障害)。

海上でのデータ通信ソリューションに利便性の高い新プランを投入したというアナウンスもあった。KDDIは、グローバル海事衛星通信サービスの「インマルサットFBサービス」に新しい4種類の料金プランを追加した。追加したのは、「200MBプラン」「2GBプラン」「6GBプラン」「IP固定額プラン」の4つのプラン。データ通信が多い法人ユーザーに向けたプランで、中でも「IP固定額プラン」は月額料金だけの定額でデータ通信を利用できる(関連記事:KDDI、インマルサットFBに利用形態に合わせた4種類の料金プランを新設)。

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モバイルヘルスでソリューションや製品

CESで多くの話題が登場したウエアラブルコンピューティング。その中でもヘルスケアに関連したニュースを2つ紹介する。

アメリカ心臓協会(American Heart Association、以下「AHA」)とNTTドコモUSAは、共同で健康増進に向けた活動を進めていくことで合意したと発表した。健康増進につながるヘルスケア関連ソリューションについて、両者が共同で検討を進める。AHAでは、心臓病による死亡を2020年までに20%削減するという目標「AHA 2020 Impact Goal」を立て、その達成を目指している。その方策の1つとして、AHAはドコモUSAと健康増進に向けて各種のソリューションの検討を進める(関連記事:ドコモUSA、アメリカ心臓協会と健康増進活動を推進)。

ソニーモバイルは、ライフログを活用できるようにするスマートウェア商品を発表した。その第一弾は加速度センサーなどを搭載したリストバンド型のスマートウェア。歩行や移動距離といった情報をスマートフォン上のライフログアプリで活用できるようになる。センサー部分はリストバンドから脱着が可能で、リストバンド以外のスタイルでの利用も想定している。このほか、日本で発売済のXperia製品の世界市場への展開もアナウンスしている。世界市場で展開するのは「Xperia Z1 Compact」で、国内ではNTTドコモがXperia Z1fとして提供している製品だ(報道発表資料:ソニーモバイル、Xperia Z1 Compactの世界市場展開やライフログ(日常の記録)を活用したスマートウェア体験を推進)。

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「ビーコン」ソリューションでアプリックスが攻勢

O2Oサービスの位置情報取得などに利用できるビーコンのソリューションを低価格で実現可能にするアプリックスIPホールディングス(以下、アプリックス)の「Beaconモジュール」が、一段と広がりを見せそうだ。トピックの1つは、グローバルでの採用の進展で、「Beaconモジュール」が欧州の大手航空会社が実施する実証実験に採用されたと発表した。今回の発表では企業の名称までは明らかにされていないが、欧州の大手航空会社が旅行案内のアプリケーションで実施する大規模位置情報ネットワークの実証実験に採用された。2014年春の観光シーズンを目標に首都全域に展開する計画だという(関連記事:アプリックスのBeaconモジュール、欧州大手航空会社の旅行案内実証実験に採用)。

アプリックスはさらに、ビーコンの電波をリアルタイムで正確に測定できる電波測定器の開発も発表している。かざすだけで測定するビーコンを選択でき、リアルタイムで電界強度やビーコンの送信数を表示できるもの。店舗や街頭などにビーコンを設置して020サービスなどを提供する際に、環境に合わせたビーコンの設置。配置状況を確認するために重要性が高まってきている。アプリックスでは、ビーコンに対応したアプリケーションやサービスの開発者を支援する「Beacon Partner Program」(BPP)を立ち上げたことも同時にアナウンスして、ビーコンの普及を後押しする(報道発表資料:Beacon専用の電波測定器を開発 〜 無線回路で直接測定することにより正確な情報をリアルタイムに表示 〜)。

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新しいサービス、終わるサービス

その他のこの週のトピックを見ていこう。エンターテインメント系の話題では、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の新アプリが面白そうだ。新しいアプリは、NHK・Eテレの人気番組「0655」のコンテンツ「歌のアルバム・うちのかぞく」を、自分の家族の写真で再現できるもの。撮りためた家族の写真を選ぶだけで、番組で流れる歌に合わせたフォトムービーが出来上がる。iOS向けのアプリとして、1月下旬に販売を始める。価格は200円(関連記事:キヤノンMJ、NHK人気番組「Eテレ0655」の「うちのかぞく」のフォトムービーを作れるアプリ)。

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サービス終了の話題もあった。KDDIは、2014年6月30日で「Skype|au」サービスの提供を終了する。Skype|auは、2010年11月に提供を開始した音声通話サービス。auの携帯電話網を利用して、全世界のSkypeユーザーと無料で通話できる。KDDIの田中孝司社長が発表時点で、通信事業者が提供するサービスとして「禁断のアプリ」と表現して話題になった。ビデオ通話などより高機能なサービスが利用できる「Skype for Android」が普及してきたことから、音声サービスが中心の「Skype|au」のサービス終了を決めた。「Skype|au」のユーザーは、「Skype for Android」サービスへ移行できる措置を採る(報道発表資料: 「Skype|au」のサービス終了について)。

また時代の移り変わりを感じさせる、サービス終了の案内もあった。KDDIが、オンラインDVDレンタルサービスの「LISMO Video DVDレンタル」、CD・DVD販売サイト「HMV for LISMO!」の提供を2014年3月31日に終了するというもの。DVDレンタル、CD・DVD販売といったリアルのパッケージを扱うサービスから、定額で動画や音楽を楽しめる「ビデオパス」や「うたパス」の強化にリソースを集中する(報道発表資料:「LISMO Video DVDレンタル」および「HMV for LISMO!」のサービス終了について)。

昨年の第2週のできごと

・子どももスマートフォンを!
・イー・アクセスの完全子会社化が完了
・ドコモが純増に返り咲き
・宮城でV-Low放送実験本免許、Xperiaなどに新端末

[2013年第2週]子ども取り込む施策続々、イー・アクセス買収その後、12月はドコモ復調

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。