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マイクロソフトはノキアの携帯電話事業をどうするのか

2014.02.17

Updated by Hitoshi Sato on February 17, 2014, 10:30 am UTC

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2014年2月12日、フィンランドの老舗携帯電話メーカーであるノキアが「Windows Phone 8」搭載のスマートフォン「Lumia Icon」を発表した。アメリカの通信事業者Verizonから2月20日に199.99ドル(2年契約付き)発売される。2014年3月末までにノキアの携帯電話部門をマイクロソフトへの買収が完了される予定である。マイクロソフトは買収完了後も「Lumia」ブランドは継続するとのことだが、「Lumia Icon」はノキアから登場する最後のWindows Phoneのスマートフォンになる可能性が高い。

そのノキアはAndroid OSを搭載したスマートフォンを出すのではないか、と2013年末から報じられている(参考レポート)。「Windows Phone」のライセンス供給元のマイクロソフトへの買収が完了してから、マイクロソフトからAndroid OSがリリースされるかどうかは不明であるため、ノキアとしての「スマートフォン」はこの「Lumia Icon」が最後になるのかどうかは引き続き注目である。

AndroidとiOSで90%以上のシェア

米調査会社IDCは2014年2月12日、2013年(通年)のOS別世界スマートフォン出荷シェアを発表した。AndroidとiOSの合計で93.8%で、この2つのOSで市場を独占している。Windows Phoneは2013年での出荷台数が3340万台で90%がノキアからである。前年からの伸び率こそ90%以上ではあるものの、Android全体の出荷台数から見たら5%未満である。

▼2013年の世界におけるスマートフォンのOS別出荷台数とシェア
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(IDC資料を元に筆者作成)

「Surface」「Xbox」が好調なマイクロソフトの決算

マイクロソフトは2014年1月2日に発表した2014年第2四半期(10~12月期)決算は、売上高が14.3%増の245億1900万ドル、純利益は2.8%増の65億5800万ドル、営業利益は2.5%増の79億6900万ドルで売上高は四半期としては過去最高を記録した。特にホリデーシーズンの「Surface」や「Xbox One」の売り上げが好調だった。

消費者向けデバイスおよびコンシューマー部門は、売上高が119億1000万ドルで前年同期と比べ13%増加した。「Windows」や「Office」などのライセンス収入は6%減少したが、SurfaceやXboxなどのハードウエア収入は68%成長。「Bing」「Xbox LIVE」などオンラインサービスとその他の収入は10%増加。Windows Phoneの収入は前年同期比50%成長したが、Windows OEMは3%減、コンシューマー向けOfficeは24%減と不調だった。

販売台数、ASPともに下がっているノキアの携帯電話事業

マイクロソフトからはノキアの携帯電話部門買収後の計画については具体的な言及はなかった。今後、ノキアの事業がマイクロソフトの業績に反映されるのは第4四半期(4~6月)からになる予定である。ノキアが2014年1月23日に行った業績発表の中で、事業廃止部門として扱われているデバイス&サービス部門の売上高は29%減の26億3000万ユーロ、純損失は1億9800万ユーロだった。フィーチャーフォン、スマートフォンともに不調で販売台数、平均販売価格(ASP)ともに下がっている。

現在、マイクロソフトとしては会社全体としての収益は順調だが、ノキアから携帯電話事業を引き継いで、それが自社の業績に反映されるとなると、現在のノキアのデバイス&サービス事業はマイクロソフトにとって「お荷物」になりかねない。

マイクロソフトとしても、ライセンス供給者とはいえ、いつまでも「Windows Phone」に固執していられないのではないか。ノキアの携帯電話事業の買収が完了する前に、今後のスマートフォン戦略を明確にしていく必要があることは間違いない。ノキアの携帯電話事業がマイクロソフトに買収されることによって、今後「Xbox」や「Surface」のようなマイクロソフトの収益を支える柱に化けることができるのだろうか。マイクロソフトの次の一手に注目である。

【参考動画】Drag Race with Nokia Lumia Icon

【参照情報】
ノキアのリリース
IDCリリース
マイクロソフト決算のリリース

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。