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タイの後発「好いとこ取り」メッセンジャーアプリ「BeeTalk」

2014.03.31

Updated by Hitoshi Sato on March 31, 2014, 14:32 pm JST

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タイでも日本と同様にメッセンジャーアプリは「LINE」が大人気であり、それを中華系の「WeChat」が追っていることについては、以前にお伝えした(タイにおける新たなコミュニケーションプラットフォームとしてのメッセンジャーアプリ)。

メッセンジャーアプリの競争が非常に激しいタイ市場において、後発ながらじわじわと「Bee Talk」の人気が出てきている。同社はタイ資本で、シンガポールに登録された会社で、現在タイを中心に人気がある。他にもシンガポール、マレーシア、ベトナムやラオスでも使われ始めている。2013年11月にサービス提供を開始し、AndroidとiOSに対応している。

「Bee Talk」では、通常のメッセンジャーアプリ同様に、テキスト、音声通話や写真などの共有が可能である。他には下記のような特徴があるが、これらは既存のメッセンジャーアプリがウリとしている機能である。
・「WeChat」が提供している「Shake機能」(スマートフォンを振って、近くの人が表示される)と同じ「Look Around」機能
・「LINE」でもお馴染みの「スティッカー」(スタンプ)
・「Snapchat」のようにテキストを送付した後に15秒で消えてしまうため「秘密のやり取り」に適している「Whisper」機能

このように既存のメッセンジャーアプリの特徴を集約していることも人気の秘密なのかもしれない。つまり「好いとこ取り」のアプリなのである。

また2013年12月からタイで人気のYouTubeチャンネル「VRZO」で「Bee Talk」利用シーンが多く登場していることも、タイでの「Bee Talk」の人気を後押ししている。

現在のタイでは「LINE」や「WeChat」が栄華を誇っているが、これからも安泰とは限らない。メッセンジャーアプリは無料でダウンロードできるため、1人で複数のアプリを用途に応じて使い分けており、その競争は非常に激しい。新しいアプリが登場したら、あっという間に逆転される可能性も秘めている。もちろん、鳴かず飛ばずで、市場から撤退するアプリもある。

まさに「一寸先は闇」の業界である。近い将来、東南アジア発のメッセンジャーアプリ「Bee Talk」が世界を制しているかもしれない。

【参考動画】

VRZO

【参照情報】
Bee Talk
Watch out Snapchat, BeeTalk is here to take over the sexting market

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。