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台湾で迫るLTEの開始 - キャリアやメーカーは早くも4G LTEの広告を展開

2014.04.08

Updated by Kazuteru Tamura on April 8, 2014, 09:26 am JST

LTEの商用サービスを提供する国と地域は世界で100を超えたが、日本から近い台湾では未だに提供していない。国策でWiMAXを推進した影響もありLTEの導入が遅れたが、2014年後半にようやくLTEを開始する。そんな台湾では、商用サービスの開始前ながら早くも4G LTEのマーケティングが展開されており、各移動体通信事業者やメーカーの展開状況を台北市内で確認してきた。

6社がLTE用周波数を獲得

台湾の移動体通信事業者は中華電信(Chunghwa Telecom)、遠傳電信(Far EasTone Telecommunications)、台湾大哥大(Taiwan Mobile)、威宝電信(Vibo Telecom)、亜太電信( Asia Pasific Telecom Group)の5社である。そして、台湾で実施された周波数オークションでLTE用の帯域を獲得したのは中華電信、遠傳電信、台湾大哥大、亜太電信の既存4社に、國碁電子(Ambit Microsystems)と台湾之星移動電信(Taiwan Star Cellular)の新規参入2社を加えた計6社である。威宝電信はオークションの参加自体を見送ったため、LTE用の帯域を獲得していない。尚、新規参入となる國碁電子は受託生産サービス大手の鴻海科技集団(Foxconn Technology Group)、台湾之星移動電信は食品大手の頂新国際集団(Tinghsin International Group)の企業である。

台湾におけるLTE用の周波数オークションはBand 3 (1.8GHz帯)、Band 8 (900MHz帯)、Band 28 (700MHz帯)を対象として実施され、各社が獲得した帯域は下表の通りである。

▼各社が獲得した帯域
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LTE用の帯域を獲得した既存の移動体通信事業者のうち、早くも中華電信が4G LTEを前面に出してマーケティングをしている。台湾ではLTEを4G LTEと表記している場合が多いが、国策で進めていたWiMAXを4Gと呼んでいたこともあり、LTEはWiMAXと区別するために4G LTEと呼んでいる。

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サービス開始前から4G LTE対応端末を展開

中華電信の販売代理店は通信機器流通大手の神脳国際(Senao International)が運営を手掛けており、販売店には両方の名前が掲げられていることが多い。店内では既に4G LTEを開始しているかのように4G LTEの文字が見られ、またLTEに対応したスマートフォンは丁寧に4G LTE対応と明記されていた。中華電信はHTCと一緒に4G LTEの展開を強化しており、台湾ではいち早くLTE対応のHTC製スマートフォンを取り扱っている。

台湾で使用されるLTEはBand 3, Band 8, Band 28であり、そのうちBand 3とBand 8は対応端末が既に多く存在するため、ハードウェアの変更なしに調達できる。中華電信のLTEはBand 3とBand 8であるため、サービス開始前ながら複数のLTE対応スマートフォンを調達して販売を開始している。中華電信は2014年7月にLTEサービスを開始する予定とされており、台湾では最初のLTEサービスとなる見込みである。サービス開始に備えて端末ラインナップを拡充しており、端末調達が容易なことが後押ししていることも見て取れた。

▼中華電信の販売代理店。神脳数位の看板も掲げている。
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▼中華電信の販売代理店内には4G LTEの文字が見られる。運営は神脳国際が手掛けており、携帯電話端末以外も取り扱う。
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▼中華電信の販売代理店で展示されているLTEスマートフォンには4G LTEと明記してLTE対応を示している。
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威宝電信はLTE用帯域のみ保有する台湾之星移動電信と合併

中華電信の他に、4G LTEの広告が見られた移動体通信事業者は意外にも威宝電信であった。周波数オークションに参加するのを見送ったためにLTE用の周波数を保有していない威宝電信が4G LTEの広告を出しているのである。広告をよく見ると台湾之星移動電信と共同で進めることが記載されている。

威宝電信は周波数オークションに参加しなかった時点で、買収等の再編に関する動きがあるとの予測も多かった。そして、大方の予想通りの結果となった。台湾之星移動電信は威宝電信を吸収合併することになり、広告は台湾之星移動電信と威宝電信の連名になっているのである。また、威宝電信は台湾之星移動電信と共同で人材募集も開始している。

新規参入となる台湾之星移動電信はLTE用の帯域のみを保有し、3G用の帯域は保有していない。威宝電信はBand I (2.1GHz帯)でW-CDMAを提供中であり、台湾之星移動電信と威宝電信が統合されることでLTEとW-CDMAの両方でサービスを提供することが可能となり、ネットワーク面では他社に大きく劣らない状況にできる。また、威宝電信の加入者を獲得することにもなる。新規参入でLTEの周波数のみを保有する企業が既存の移動体通信事業者との提携や統合を考えることは自然なことであり、それを見越して威宝電信は周波数オークションに参加しなかった可能性もある。また、周波数オークションの終了からあまり期間をおかずに合併することで合意した模様で、周波数オークションの実施前から描かれていたストーリーとの見方もある。LTEは台湾之星移動電信のブランドで展開される予定である。

▼威宝電信の販売代理店で見られた4G LTEの広告。台湾之星移動電信と一緒に提供することを示している。
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台湾では2014年中に複数の移動体通信事業者がLTEを開始する予定で、それに備えてメーカーも独自で4G LTEのマーケティングに力を入れている。これまではLTE対応版が存在しながらLTE非対応版を投入してきたメーカーもLTE対応版を投入するようになり、4G LTEと広告に明記しているところもしばしば見られた。

台湾の移動体通信業界はLTEを開始して新時代を迎えることになり、大きく変化するに違いないので注視したいところである。

▼HTC OneとHTC One amxの広告。真ん中に大きく4G LTEと記載されている。
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▼Sony Xperia Z1 Compactの広告。右上に小さく4G LTEと記載されている。
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田村 和輝(たむら・かずてる)

滋賀県守山市生まれ。国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報を収集し、記事を執筆する。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ。国内外のプレスカンファレンスに参加実績があり、旅行で北朝鮮を訪れた際には日本人初となる現地のスマートフォンを購入。各種SNSにて情報を発信中。