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KDDI、CAとWiMAX2+に対応したスマホなど夏モデルを発表、電子マネー「au WALLET」も提供開始

2014.05.08

Updated by Naohisa Iwamoto on May 8, 2014, 21:31 pm JST

KDDIは2014年5月8日、au発表会 2014 Summerを開催し、スマートフォン新商品や新サービスについて説明した。夏モデルの新端末は、LTE-Advancedの主要技術であるキャリアアグリゲーション(CA)とWiMAX2+の双方に対応したモデルが中心で、スマートフォンが6機種、タブレットが2機種を用意する。新しい電子マネーサービスの「au WALLET」も、5月21日にサービスを開始する。

▼6つのセグメントで価値を訴求すると説明するKDDIの田中社長20140508_kddi001.jpg

発表会に登壇したKDDIの田中孝司社長はまず、iPhoneをすべてのキャリアが提供するといった「同質性の中で、auはあらゆる分野で『期待を超える価値』を提供し、磨き上げていく。価格競争ではなく、価値訴求でauを知ってもらいたい」と方針を説明した。価値として掲げたのは、「ネットワーク」「端末」「サービス」「サポート」「料金」「ウォレット」の6つのセグメント。「料金は、X月吉日に発表したい」(田中社長)と笑いを取りながら、残る5つのセグメントで提供する「WOW」について発表を進めた。

メインのスマホ5機種はCA+WiMAX2+

「ネットワーク」の分野では、800MHz帯のプラチナバンドのLTEが3月14日に実人口カバー率で99%に達し、2.1GHz帯のLTEが3月26日に実人口カバー率で85%を超えたことを報告。2.1GHz帯も2015年3月末には実人口カバー率90%超を目標としており、「エリアはダントツau」(田中社長)とアピールした。一方の速度は、すでに発表済みの800MHz帯と2.1GHz帯を同時に使うキャリアアグリゲーション(CA)による受信時最大150Mbpsのサービスと、UQコミュニケーションズが提供する受信時最大110Mbpsの「WiMAX2+」を1台の端末で利用できるようにすることで、「ダブルで実効速度No.1を目指す」(田中社長)。

▼CAによる150MbpsのサービスとWiMAX2+による110Mbpsのサービスを併せて提供20140508_kddi002.jpg

端末は、スマートフォン6機種とタブレット2機種をラインアップする。夏モデルのキーワードは「大画面と電池」で、メインとなる5機種はいずれも5インチ以上のディスプレイと大容量バッテリーを搭載。CAとWiMAX2+の双方に対応する。

「Xperia ZL2 SOL25」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)は、5インチのフルHDディスプレイを搭載したモデル。2070万画素のカメラを搭載し、フルHDの4倍の画素数を持つ「4K」動画の撮影にも対応した。田中社長が「ソニーさんらしい」と評したのが、フロントに配したステレオスピーカーで、ソニー独自のバーチャルサラウンド技術「S-Force フロントサラウンド」により音の動きや広がりを表現することが可能。デジタルノイズキャンセリング機能を搭載し、専用イヤホンを利用することで周囲の雑音を98%遮断して音楽や映画の音を楽しめる。OSはAndroid 4.4、バッテリーは3000mAh。防水/防塵、ワンセグ/フルセグ、おサイフケータイ/NFCの各性能・機能を備える。

「GALAXY S5 SCL23」(サムスン電子製)は、5.1インチフルHDの有機ELディスプレイを搭載したモデル。田中社長は「世界で一番売れているというGALAXYシリーズの製品で、今回自慢したいことは0.3秒の高速オートフォーカス」と紹介した。グローバルモデルのGALAXYシリーズとして初めて防水/防塵性能に対応した。LTEとWi-Fiを同時に利用してダウンロードを高速化する「ハイブリッドダウンロード」、画面ロックからの解除やオンライン決済などを認証できる「指紋認証センサー」、心拍数が簡単に測れる「心拍数モニター」などを搭載。OSはAndroid 4.4、バッテリーは2800mAh。ワンセグ、おサイフケータイ/NFCの機能を備える。

「AQUOS SERIE SHL25」(シャープ製)は、5.2インチのフルHDのIGZO液晶を搭載する。低消費電力のIGZOを搭載するにもかかわらず、3150mAhの大容量バッテリーを採用し、電池の持ちを気にせずに楽しめる。狭額縁デザインの「EDGEST」で画面占有率は約80%となり、大画面でありながら持ちやすさも兼ね備えた。逆光でもブレの少ないきれいな写真が撮れる「リアルタイムHDR」、持つだけで画面をオンにできるだけでなく、握るだけで着信や未読メールの通知ができるように進化した「グリップマジック」を搭載する。OSはAndroid 4.4。防水、ワンセグ/フルセグ、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信の各性能・機能を備える。

「URBANO L03」(京セラ製)は、スマートフォン初心者やシニアに向けたURBANOシリーズの最新モデル。5インチのフルHD液晶、3000mAhの大容量バッテリー、Android 4.4のOSと、最新モデルの名に恥じないスペックを誇る。でか文字、拡大鏡、耳に当てるだけできれいに聞こえるスマートソニックレシーバーなど、使いやすさにも考慮している。防水/防塵に加えて、耐衝撃性能も備え、圧力がかかってもガラスが割れない。田中社長は「イチオシといえば、個人の趣味かもしれないけれどボタンが付いていること」と、ハードキーを備えたデザインを評価していた。おくだけ充電に対応したワイヤレス充電モデルも同時に発売する。ワンセグ、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信の各機能に対応する。

「isai FL LGL24」(LGエレクトロニクス製)は、5.5インチの大画面ディスプレイを搭載したスマートフォン。田中社長は「auでは、ファブレットは5.5インチを超えるという定義。これはスマートフォン」と、ファブレットにも迫る大画面のisai FLを紹介した。ディスプレイは、フルHDの1.8倍の画素数を持つWQHD(2560×1440ドット)で、「ここまで来ると奥行き感があるように感じる」(田中社長)というほど。4K動画の撮影、「振る」ことをきっかけにしてアクションを起こせる「isaiモーション」、3辺狭額縁デザイン、画面を2分割できる「デュアルウィンドウ」などの機能を盛り込んだ。ロック解除に画面をノックするパターンを利用できる「ノックコード」も搭載する。OSはAndroid 4.4,バッテリーは3000mAh。防水、ワンセグ/フルセグ、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信の各性能・機能を備える。

▼2014年夏モデルのスマートフォン6機種とタブレット2機種20140508_kddi003.jpg

軽量タブレット2機種、高耐久性スマホもラインアップ

タブレットは2機種。「Xperia Z2 Tablet SOT21」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)は、CA、WiMAX2+に対応する10.1インチのタブレット。6.4mmの厚さ、439gの軽さは「10インチ端末として世界で、最も軽く薄い。さらに防水/防塵も付いている」(田中社長)。トリルミナスディスプレイは、新開発のLive Color LEDを搭載することで一層の色域拡大を実現した。ステレオスピーカーも搭載し音楽や映画などの音も楽しめる。OSはAndroid 4.4、バッテリーは6000mAh。ワンセグ/フルセグ、NFCに対応する。

もう1つのタブレットは8インチのディスプレイを搭載した「Asus MEMO PAD 8」(ASUSTeK Computer製)。約305gと軽量で、7.5mmの薄さで、持ち歩きやすく手への収まりもいい。ボディーカラーはパウダーピンク、パールホワイト、メタリックブルーの3色を用意。田中社長は「本当に軽い。ピンクがイチオシのカラーと合わせて、女性向けのタブレットとしていいのではないか」と評する。ハードウェア的には、国内で初めてインテルのクアッドコアプロセッサー「インテルAtomプロセッサー Z3580」を搭載したことがトピックだ。OSはAndroid 4.4,バッテリーは4350mAh、NFCに対応する。CA、WiMAX2+には対応していない。

田中社長が最後に紹介したのが、高耐久性を備えたスマートフォン「TORQUE G01」(京セラ製)だ。「以前、耐衝撃性を備えたG'zOneという製品がauにはあった。これをさらに進めて、米国の国防総省制定のMIL規格に対応させたのがTORQUE。MIL規格にはこれまでの防水では対応できなかった塩水への基準もあり、TORQUEは塩水の噴霧にも耐える」(田中社長)。濡れた手でも利用できるタッチパネルディスプレイ、手袋をしたままでも使いやすいハードキー、大音量を実現する「デュアルスピーカー」などで、あらゆるシーンでの使い勝手を保つ。スマートソニックレシーバー、Qi規格のワイヤレス充電機能を備える。OSはAndroid 4.4、バッテリーは3000mAh、おサイフケータイ/NFCに対応。CA、WiMAX2+には対応しない。

これらの夏モデルのラインアップを紹介した田中社長は「大きな画面、バッテリー3日は持つというのが夏モデルの特徴」と締めくくった。さらに、夏モデルから時期はずれるとしながら「HTC Jシリーズの新しい製品も投入する」(田中社長)と、さらなる新製品の開発状況を紹介した。

auのバリューチェーンを実現する「au WALLET」

「サービス」面では、会員数が3月に1000万を「auスマートパス」に2つのコンテンツパスを追加する。1つは「アニメパス」。月額400円で、約500作品の7000話のアニメ動画から、声優やジャンルなどで好みの作品を検索して視聴できるアニメ見放題サービスだ。もう1つは「ディズニーパス」。田中社長は「auにはディズニースマホがなかった。auのやり方は、機種を選ばずにディズニーコンテンツを使い放題にするというもの」と、他社との違いをアピールする。月額372円でディズニーにフルカスタマイズが可能だ。

「サポート」面では、「auスマートサポート」に2つのサポートメニューを追加する。1つは、「対面サポート」のトライアル。有料の訪問サポートよりも気軽に、しかし対面で説明が必要な利用者に対するサポートだ。もう1つは「スマホお試しレンタル」に、プリンターなどのアクセサリーやウェアラブル端末の貸し出しを加えたこと。購入前に試せることで、安心して利用できる環境を提供する。

そして、「きょう一番のWOW」と田中社長が言うのが、「ウォレット」のジャンルの「au WALLET」の発表。クレジットカードのようなつるつるしたカードを使った電子マネーサービスである。所有者が限られるクレジットカード、利用場所が限られる電子マネーという2つの課題を解決するものとして、世に問う。

▼au WALLETのCMキャラクターである所ジョージさんに特大のau WALLETのカードを手渡す田中社長20140508_kddi004.jpg

田中社長はau WALLETの「3つのポイント」を、「らくらくチャージ」「どこでも買い物」「どこでもポイント」と説明する。「らくらくチャージ」では、auの月額請求とまとめて支払う形でのチャージのほか、auショップでの現金チャージ、じぶん銀行からチャージ、クレジットカードからのチャージを用意し、利用者に合ったチャージの形態を選べるようにした。

「どこでも買い物」は、マスターカードの加盟店、全世界の3810万店で利用できることで、電子マネーにありがちだった利用できる店舗が限られるという制約をなくす。そして、「どこもでもポイント」では、リアルの店舗では200円につき1ポイント、ネット店舗では200円につき1ポイント、通信料金も1000円で10ポイントのポイントが付く。通常よりもポイントが多く付くポイントアップ店もキャンペーンなどで用意する。例えばセブン-イレブン・ジャパンの店舗では6月30日までの期間は10倍のポイントが付くといった具合だ。貯まったポイントはスマートフォンアプリから、簡単にau WALLETにチャージできる。

田中社長は、「ここまでやるとおさいふは要らなくなるんじゃないかなと思う。5月21日サービス開始する。ポイントを介してauのバリューチェーンを実現していきたい」と新サービスへの意気込みを語った。

【報道発表資料】
au 2014 Summer 最新技術「LTE-Advanced (CA)」と「WiMAX 2+」をダブル搭載した次世代スマホやタブレット、全8機種が登場
auスマートフォン、タブレットが2つの次世代通信ネットワーク「LTE-Advanced (CA)」、「WiMAX 2+」に対応!
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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。