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種類が多すぎて結局便利なのか不便なのか意味不明な日本の電子マネーなワタシ

2014.05.27

Updated by Mayumi Tanimoto on May 27, 2014, 02:29 am JST

日本のニュースをみていて不思議なのが、やたらと様々な種類の電子マネーがあることであります。Suicaなど交通からNanacoなどの流通系、携帯キャリアが提供するもの等々やたらと種類と数はありますが、使える場所は一部店舗に限られていたり、駅周辺だけだったりと、異様に不便というのも謎であります。

日本の電子マネー(だけではなくIT全般)に関する記事を読みますと、「日本はアメリカに比べて遅れている!!ケシカラン!!」という使い古された陳腐な表現がやたらと舞っているのでありますが、それは記者や分析担当が外国というとアメリカという所しかないと思い込んでいるという単細胞脳なので仕方がないといった感じなのですが、日本の電子マネー界隈は、落ちぶれきっている欧州に比べても、なぜか遅れているというか、不便なのであります。

さて、その落ちぶれ国家の筆頭のイギリスでありますが、ここでは「電子マネー」という珍奇な名称は使われておりません。「エレクトロニックペイメント」とは呼びますが、あくまで「支払方法」の一部であって、電子マネーとは呼ばないわけです。

さて、ここではそもそも日本より遥かにカード社会状態で、英語が微妙に通じない八百屋から、スーパー、タバコ屋、税金の支払等々大体どこでもクレジットカードかデビットカードが使えまして、使えないのはメタルフェスの会場で豚の丸焼きを買うときぐらいものものです。

もともとそんな感じでカード支払が当たり前なわけですが、最近は小額決済の場合は非接触型での支払が当たり前です。ロンドンの町中で買い物をしておりますと、以下の動画の様にカフェやスーパーでクレジットカードやデビットカードで非接触で支払が可能だったりします。ここでのポイントは、謎の「ほにゃらら」という電子マネー用のカードを作ったり、会員になったりする必要は全くなく、普段使いのクレジットカードやデビットカードでさくっと支払えるということです。ですので、その辺のお年寄りも普通に使っていたりします。

ブラックキャブ(タクシー)でもクレジットカードかデビットカードを使って支払できるのがデフォルトですが、非接触型リーダーでの支払が当たり前になってきています。ちなみにワタクシが住んでいる郊外のタクシーですらこれ当たり前ですので、日本に帰省した際に、同じ様に支払ができないタクシーが結構あることを忘れていて、現金が足りなくてあわてたりするわけです。

ちなみに、たま〜にストがあったり、色々文句を言われているロンドンのバスでさえも、クレジットカードかデビットカードで非接触型リーダーにタッチすれば乗車料金支払完了です。Oysterというプリペイドカード(PASMOみたいなもの)と同じく、現金よりも乗車料金が安くなります。ちなみに地下鉄は現金の場合、1区間片道£4.7(800円)という恐ろしい値段ですが、電子的に支払うならピーク時は£3.2 (約544円)、オフピーク時は£2.7(約459円)です。

クレジットカードやデビットカードでも、プリペイドカードでも、一日の上限を超えるとその後は自動的に載り放題になるという便利な機能もあります。例えば地下鉄のゾーン1−3を移動する場合、£7.7 (約1300円)を越えるとその後はバスも地下鉄もトラムも載り放題です。ちなみに本年後半から地下鉄、トラム、電車でもクレジットもしくはデビットカードでタッチして乗車が可能になります。

どうですか、どのサービスもシンプルではございませんか。

サービス向上、他社との差を付けようという意味合いで、様々な事業者が次々に似た様なサービスに参入し、しかし他社のコピーばかりなので、似た様なサービスばかり、しかし使い方は複雑で、お客は困惑、機能をじゃんじゃん追加してさらに複雑化し、結局わけのわからないサービスになっており、結局何がやりたかったのか意味不明、という日本のありがちな状況が、電子マネー界隈そのものなのであります。

たまには落ちぶれ国家のシンプルさを見習ってみたら良いかもしれませんね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。