2014年4月、フランス第4の通信事業者Freeが自動販売機でのSIMカード販売を開始することを発表した。
Freeは2012年1月に市場に参入し、格安な料金プランであっという間にフランス市場において、そのポジションを確立してきた。現在では800万以上の加入者がおり、特に同社が導入した格安プランによって既存の通信事業者は大きな打撃を受け、フランスの携帯電話市場再編に繋がる程の勢いである。
今回Freeが導入したSIMカードの自動販売機は、フランスで初のタッチパネルで購入できる自販機で、デザインもFreeがこだわりを持って設計したとのことである。フランスだけでなく欧米ではSIMカードの自動販売機をよく見かけるが、たしかにこのようなデザインの自動販売機は見かけたことがない。
Maison de la Presse とMag Presseの店舗にフランス全土で1,700台を設置する。これは既存事業者Orangeが導入している1,000台よりも多い。2ユーロと19.99ユーロのプランのSIMカードを販売する。また、Mini SIM、Micro SIM、Nano SIMなど形状の異なるSIMの販売も行う。
Freeは自動販売機でも既存事業者に攻勢をかけていく。日本ではまだSIMカードの自動販売機はSo-netが空港に設置を開始したところだが、あまり馴染みがない。しかし、先進国を中心とした海外ではSIMカードの自動販売機は空港、スーパー、量販店などに多く設置されている。そこでSIMカードを購入して携帯電話、スマートフォンに挿入して利用している。
従来フランスの通信事業者はOrange、SFR、ブイグの3社であった(MVNOは除く)。そこに新たに格安料金をウリにしたFreeが参入し、競争は激化した。今回、FreeがSIMカードの自動販売機を導入したことによって、さらに競争に拍車をかけていくことだろう。
(出典:iliad)
【参考動画】
【参照情報】
・Free is expanding the distribution of its mobile offers thanks to The 1st subscription and SIM card dispenser (プレスリリース)
・Free Will Sell SIM Cards Using Vending Machines In France
2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。