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ニコニコ超会議3行ってきた

2014.05.03

Updated by Satoshi Watanabe on May 3, 2014, 11:03 am JST

さて、終わってから少々時間が経ってしまったが超会議にお邪魔してきたので、その話を先にしましょう。
■毎度説明のしにくいニコニコ超会議
たまーに、偉い人などからニコニコ超会議とは何か?という質問を受けるのですが、実に説明に困るのです。これは参加したことのある方は「そうだよねそうだよね」となるところかと。会場で一緒になった知人と話していたのは、「イベントというのは行かないと分からないというのが良くあるが、超会議は、行くと分からないということが分かる」というものです。
仕組みとして説明すると、ユーザー持ち寄り的な作りだから、というのもあります。いわゆるゲームイベントやモーターショーのようにコアになるテーマが一個あって周辺テーマをどれくらいまで取り込むかという形になってないから、と一応言えます。つまり、単独で成立するテーマイベントに載らないものを全部持ってきて載せてみました、というのが基本形です。
とはいえ、単に持ち寄り文化祭をやったくらいで、会場にいらしていたドワンゴ川上さんが「カオスですから、もう」と表現するには至らないはずです。この熱量はいったいどこからくるのだろう?というのはある程度ニコニコという世界に浸らないとなかなか分からないところかもしれません。
■主客が混然一体となった会場
会場をうろうろしていて今回印象的だったのは、企業側の参加が増えていること、でも企業が自分たちの事情を振り回すのではなく、ニコニコという空気にどうやって合わせて溶け込むかということを意識して動いている感じが強く出ていたことです。企業がニコニコ化していくのは上手い下手の差はあっても、回を追うごとに巧みになってきています。
企業側の混ざり具合について中の人からはこういう声も出ています。
超会議1,2では企業ブースはオマケのような扱いだった。出展側企業はニコニコのことがよく分かっておらず、既存イベントと同じようなブースを構え、そして閑古鳥が鳴いた。彼らを擁護しておくと、展示会イベントというのは「いかに製品をニュースに乗せるか」「いかにサンプリングを配るか」「いかに消費者に製品を体験してもらうか」という概念で作るものなのである。プロモーションなのだから、とにかく商品の魅力をまっとうに訴えねばならないのだ。
萌え選挙カーに有権者を乗せて接待してあげるとか、バスケットコートを作るとか、最中アイスなのに進撃の巨人前で縄跳びするとか、意味ないわけですよ! お前ら全然商品PRしてないじゃん! ニュースになっても「面白いですね。ところでそれが何の役に...?」って返されるパターンじゃん! アホか!
そう、企業がアホなのである。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン状態なのだ。ユーザーと一緒に参加してお祭り騒ぎをし始めたのだ。全く儲からないのに!
超会議1,2と決定的に違ったのはこの企業も一緒になって遊んでいる感で、ニコニコ的な動き方を少なくとも超会議という場ではやった方がいいし、参加者からも喜んで貰える、ということが稟議レベルでも正式に企業側で通ったことです。いわゆるイベントキャンペーンと根っこから違うこのアプローチへの許容感は、最近だとゆるきゃらブームなんかも似たところがあります。
超会議自体は商業化が進んで残念、という声もちらほら耳にはしましたが、いわゆるビジネスショーやビジネスイベントに比べると文化祭感はまだまだ残っていて、企業とユーザー、出し手と消費者という垣根は意識して境目を探さない限りはさほど気になるものでは(個人的にはありません。むしろ、「いーれーてーー」としてきた企業側も一緒になって遊ぶ方がより大きな輪での遊び場が出来るんじゃないでしょうか。
主客が曖昧なのは、演者とオーディエンスという境目もあまりないことも意味しています。出演者や出展者がコスプレしてたり衣装を着てたりというのはこの手のイベントなので珍しいことではないですが、お客さんの方も出演者以上にきっちりコスプレをして芸が立っていたり、という、コスプレ写真撮ってる側の人がむしろマジコスプレ、というのはもうすっかり見慣れた光景で、このわやくちゃな光景を見る度、「ああ、超会議に帰ってきた」と実感します。
この主客未分のごった煮感は、広告コミュニケーションでいうインタラクティブというものより進んだ(原点に戻った?)状況に見えます。インタラクティブというのは解釈にも寄りますが、明に暗に出し手と受け手は分かれていて且つ立場は交わらない、という前提を読み取れます。同じく、CGMという言葉も立場が根底では交わらないことが前提にあります。Cはコンシューマー、消費する側でしょ?という。
この切り口が気になっているのは、この主客未分的なところから新しいコンテンツや消費(ともはや呼ばないかもしれない)の動きが出てきている気配を強く感じることです。現に、音楽など先行して動きの出やすい分野ではトレンドの発生構造が若年層になるにしたがって変化しているとの調査が複数示されています。
■新しい世代と消費(?)スタイルへの仮説
ニコニコ動画のユーザーは若年層に多いと良く言われます。最近は若年層といえば、LINEといった話題ばかりですが(一部はVineのようなものも)、少し前は若年層のオンラインカルチャーの議論するにニコニコ動画は欠かせないものでした。今でも基本的には欠かせないものと言えます。
終了後、中の人がレポートの一つとして紹介していたのがこちらの文章です。
要すれば、初めてディズニーランドに来ました、という部類のものですが、この方のように、単に好きというものを超えて、もはや自分のアイデンティティ形成の一部になってるような人に何をどう届けたら響くのか。少なくとも音楽関係については誰かが新曲出しましたかっこいいので買ってね、くらいではまったく届かなさそうに見えます。
ミクさんは今や世界に躍進していて、だいぶ有名なはずなのに、一番好きな人は現実で会

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渡辺 聡(わたなべ・さとし)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。

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