人体は発熱しているので、エネルギー源として使うことができる。韓国科学技術院(KAIST)の研究者たちが開発した素子は熱エネルギーを電力に変換する。同様の素子はこれまでにも存在したがセラミック製で固く、重く、変換効率が悪かったそうだが、KAISTのものはガラスファイバー製なので、衣類にすることができるのではないかと期待されているそうだ。同じ重さで比較すると、セラミック製に比べて発電能力は14倍にも及ぶという。
昨年2013年11月には、奈良先端科学技術大学院大学が、人体やパソコン(発熱している)に貼って、温度差で発電するシートを開発したと発表している。同じく2013年の6月には、カナダの15歳(当時)の女の子が人の手の体温だけでLEDの懐中電灯を光らせるだけの発電が可能な仕掛けを独力で作って話題になっている。両端の温度差で発電するペルティエ素子を使っているため、気温が低いほど、つまり体温との温度差が大きいほど発電量が多いようだ。
さらにさかのぼると、1998年にはセイコーとセイコーインスツルメンツ(当時)が、体温で駆動する腕時計を30万円で発売している。
ガジェットへの給電のために毎日同じ服を着るようになるとは考えにくいが、太陽光発電と違って夜間でも発電できることから、体温発電は患者のバイタルサイン(心拍数、呼吸、血圧、体温など)を常時モニタリングするデバイスの給電などに活用される可能性もある。
【参照情報】
・Worn as clothes, thermo-element generates electricity using body temperature ? Drawing attention as a wearable device battery
・15-year-old Canadian Girl Invents LED Flashlight Powered by Hand Heat
・奈良先端大、体に貼る発電シート 体温と空気の温度差利用
・セイコー、体温で作動する腕時計を発売
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