サウジアラビア政府はAppleに同国での製品開発及び販売の許可を約2か月前に出した。その後、Appleはローカルの小売事業者Jarir Bookstoreと提携した。Jarir Bookstoreは名前の通り、書店であるが本以外にもゲーム、家電、スマートフォン、PC機器などを販売している総合小売業である。今回の提携でJarir Bookstoreは同社のチェーン店舗でApple製品を販売および技術サポートを提供する。
Jarir Bookstoreは今までもAppleの製品を取り扱っていたが、それらはサードパーティから製品を供給してもらっていた。今回の提携でAppleと正式に直接取引することができるようになった。これによってJarir Bookstoreは仕入コストを大幅に削減することができる。例えば、現在サウジアラビアでは32GのiPod Touchが約333ドルで販売されており、これはアメリカよりも100ドル以上高い。今回のJarir BookstoreとAppleの提携によって、多くのApple製品が値下がりすることが期待される。また今回の提携で、多くのApple製品の取扱いが可能となった。さらに今まではAppleの新製品納入まで約6か月以上かかっていたが、今後は納入期間の短縮も実施される予定だ。
人口は約3,000万のサウジアラビアは、2013年第1四半期において、スマートフォンの普及率が72.8%でUAE、韓国に次いで世界第3位だった。現在ではもっと普及している可能性が高い。さらに2013年第2四半期ではサウジアラビアの移動体通信契約の54%がモバイルブロードバンド対応で、データ通信も急速に増加している。
スマートフォンも普及しつつあるサウジアラビア市場において今後、Apple製品の売れ行きがどのように変わるのか注目である。
【参照情報】
・Apple signs Saudi deal with Jeddah bookstore
・Apple expands to Jarir Bookstore in Saudi Arabia
・Apple reaches accord with Saudi Arabian retailer to expand Middle East distribution
・The 15 Countries With the Highest Smartphone Penetration
・Mobile data usage on the rise in the Middle East
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。