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マレーシアでの日本ファン拡大を目指す『Welcome To The Railworld 日本編』共同制作

2014.09.22

Updated by Hitoshi Sato on September 22, 2014, 18:59 pm JST

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マレーシア大手メディアグループMedia Prima Berhad(Media Prima)の、地上波放送子会社Metropolitan TV Sdn Bhd(8TV)と、同番組制作子会社Primeworks Studios Sdn Bhd(Primeworks)、日本テレビ、および住友商事は2014年9月12日、日本全国を鉄道旅行する番組『Welcome To The Railworld 日本編』を共同制作しマレーシアで放送することを発表した。

Media Primaは、地上波テレビ放送、ラジオ、新聞、ポータルサイトを傘下に収めるマレーシアの大手メディアコングロマリット。マレーシアで商業放送を行う4つの地上波放送チャンネル全てを子会社としている他、新聞や屋外広告を展開する子会社も国内最大のシェアを誇るマレーシアの大手メディアコングロマリット。Media Primaのコンテンツ制作子会社である Primeworksは、年間約5,000時間のテレビ番組を制作し、Media Primaグループの4つの地上波放送チャンネルに供給しているマレーシア最大の番組制作会社。8TVは、Media Primaが100%出資する地上波放送子会社で、富裕層が多い中国系、都市部の若者をターゲットとし、中国語または英語で放送を行っている。

『Welcome To The Railworld 日本編』は、番組ホストである「旅人ヘンリー」が、鉄道を利用してマレーシア国内を旅する、2010年に放送された人気紀行番組シリーズ、『Welcome To The Railworld』の日本編として、Primeworksと日本テレビが共同制作し、マレーシアの地上波放送チャンネル8TVで放送する番組。マレーシアで本番組を制作しているPrimeworksと、日本の鉄道旅行番組の草分け「ぶらり途中下車の旅」を1992年以来22年間放送している日本テレビがタッグを組み、両社が得意とする「鉄道のぶらり旅」を通じ、北海道から沖縄まで日本全国の人気観光スポット、食や文化を紹介し、日本の魅力をマレーシアの視聴者に伝える番組を制作する。

番組で紹介するロケ地の選定では、マレーシア人の関心が高い地域を事前にリサーチすると共に、観光庁や日本政府観光局(JNTO)の協力を得て、一味違った観光スポットを選ぶことができた。ガイドブックには載っていない貴重なローカル情報も発信していく予定。

また、観光スポット以外にも日本の優れた技術・製品などを紹介していく。番組で重要な役割を果たす「鉄道」がその一つで、世界に誇る交通システムである新幹線を始めとし、日本の鉄道がいかに安全・正確・快適かなどをアピールする予定。番組を通じて「Made in Japanの素晴らしさ」をマレーシアの視聴者に伝えていくとのこと。番組は2015年1月15日21:30スタート予定。

マレーシアでの「日本ファン」の拡大に期待:訪日マレーシア人は年間17万人以上

なお、この共同制作は平成26年度 総務省「地上波テレビジョンを活用した放送コンテンツの海外展開に関するモデル事業」の一環として、同事業の請負主体である三菱総合研究所と一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)が連携して実施するモデル事業の一つとして取り組むもの。今後放送コンテンツの展開先として有望視されるアジア地域で、現地ニーズに応じた放送コンテンツを共同製作・放送することで、「日本ファン」の拡大を図るとともに、幅広く経済波及効果を生み出すことを目指している。

マレーシアは特にマハティール元首相の「ルック・イースト政策」以降、世界でも有数の非常に親日的な国家である。日本にも2,400人以上のマレーシア人留学生が来ており、中国、韓国、台湾、ベトナムに次いで第5位である。在日マレーシア人は7,848人(2012年末:法務省入国管理局統計)である。マレーシア在住の日本人は約21,000人(2013年10月現在、外務省・海外在留邦人数調査統計)である。

訪日マレーシア人の数も年々増加しており、2013年には17万人以上のマレーシア人が日本を訪問しているが、中国、香港や近隣東南アジア諸国への訪問に比べると、少ない。2013年にマレーシアを訪問した日本人は51万人以上で、日本に来るマレーシア人の数よりも圧倒的に多い。

今回の番組を契機に、日本を好きになって日本を訪問してくれるマレーシア人が増加することが期待される。

▼(表1)マレーシア人の各国への訪問者数
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(日本政府観光局資料を元に作成)

マンガよりも「日本」のアピールには鉄道旅行

マレーシアでは「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ドラゴンボール」「名探偵コナン」「ワンピース(Budak Getah)」など、日本でお馴染みのマンガが大人気で現地語に訳されている。特に「ワンピース」は現地語で「Budak Getah」のタイトルで非常に人気がある。「ワンピース」の義理と人情のストーリーがマレーシア人に響いているのだろう。
しかし、これらのマンガからはあまり「日本らしさ」を感じない。あくまでもマンガのストーリーを楽しむことに主軸が置かれており、その中に日本を読み取るコンテクストはほとんど存在しない。その点、『Welcome To The Railworld 日本編』は明らかに「日本各地」を鉄道で旅して紹介する番組であり、マレーシア人にリアルな日本が伝えることができるだろう。そしてマレーシアにおいて、日本のファンを獲得するのに貢献することが期待される。

▼マレーシアで現地語に訳されて販売されている漫画(クアラルンプール)
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【参照情報】
住友商事リリース:マレーシア×日本 番組共同制作について『Welcome To The Railworld 日本編』

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。