アートでCODEの歴史とクリエイティブを再確認する〜CODE:『私たちの時代の言語』展が大阪で開催
2014.11.18
Updated by Yuko Nonoshita on November 18, 2014, 17:00 pm JST
2014.11.18
Updated by Yuko Nonoshita on November 18, 2014, 17:00 pm JST
グランフロント大阪の知的創造拠点であるナレッジキャピタルにて、今月から来年1月25日までCODE:『私たちの時代の言語』展が開催される。本イベントはこの秋よりスタートする、ナレッジキャピタルとオーストリアのリンツに拠点を置くクリエイティブ・文化機関「アルスエレクトロニカ」とのコラボレーション・プログラムの第1弾目であり、展示作品は2階の常設スペース「The Lab.」内に無料で公開される。
展示内容は、今や我々の生活に欠かせないものとなっている、コンピュータの言語でもあるCODEをテーマに、アルスエレクトロニカの活動の歴史を紹介するポスターと、二組のアーティストの作品で構成されている。初日のプレス発表会では、オープニングのプレス発表会では、展示会と併催されるイベントのゲストとして来阪したアーティストが自らの作品を解説した。
▼今回イベントのテーマを紹介するポスター
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インタラクティブ・アートのクリエイターであり、カーネギーメロン大学の教授であるゴラン・レヴィンは「Eyecode」と初公開作品「Eidora」を展示。いずれも人の視点がテーマで、作品を見る側がそのまま作る側にもなれる不思議な体験ができる。レヴィン氏は、新しいテクノロジーと新しいクリエイションを加えて、新しいクリエイティビティを構築する活動を続けており、今回の2つの作品では「見ることと見られることをベースに、インタラクティブの基本を問いかけたい」としている。
▼インタラクティブ作品「Eyecode」は作品を見る人の目がリアルタイムの画面に並び、コードのような動きを見せる。
▼視線をキャプチャするセンサーを使った「Eidora」についてレヴィン氏は、CODEを介在して見る側が作品を作る側にもなるという哲学的な構造になっていると解説する。
千房けん輔と赤岩やえのアートユニット、エキソニモ(exonemo)の「ANTIBOT T-SHIRTS」は、オンラインのセキュリティで使われる画像認証のキャプチャをデザイン化し、自動で生成されるプログラムをカッコイイと思う人間の感覚をそのまま作品にしている。別ユニットで展開している、インターネットを素材にしたリアルなマーケットイベント「インターネットヤミ市」は、参加者がそれぞれインターネットらしいと思うものを実際に販売するイベントで、画像コードをプリントアウトして販売したり、お金を払うと人の後を付いて回るリアルツイートなどのパフォーマンスをするインターネットおじさんといった、ユニークな参加者の活動がビデオで紹介されている。
▼「ANTIBOT T-SHIRTS」についてエキソニモの千房けん輔氏は「プログラムを使った作品を自分で作って、実際に着て楽しんでほしい」としている。
▼エキソニモが別ユニットで運営している「インターネット楽市」は日本以外にベルリンでも開催されている。
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ナレッジキャピタルでは、昨年からアルスエレクトロニカとのコラボレーションを実施しており、子ども向けのワークショップを毎月開催してきた。ナレッジキャピタルの総合プロデューサーを務める野村卓也は「2年目を迎えた今年からは対象を一般にも拡げ、テーマ型のプログラムでイノベーションを触発する機会にもしたいと」とコメント。会社帰りや買い物ついでに立ちよれるオープンな場所で、世界最先端のクリエイティビティに何度でも気軽に触れられてほしいと語った。
▼ナレッジキャピタルの野村卓也総合プロデューサーはアルスエレクトロニカとのコラボを行う目標として「世界最先端のクリエイティビティに多くの人に関わってもらい、一緒にイノベーションをおこしていきたいと」としている。
アルスエレクトロニカのディレクターで展示会の企画や作品のキュレーションを担当するゲルフリート・ストッカー氏は、プレス発表会で「都市のジャンクションである駅のすぐ近にある商業ビルの中で、博物館や美術館でもないスタイルで作品を体験してもらうのは、私たちにとっても新しい挑戦であり、どのような創発が生まれるか楽しみである」とコメント。次回の構想にもすでに着手している。
▼アルスエレクトロニカのゲルフリート・ストッカー氏は2年目に入るコラボレーションについて「ナレッジを蓄積するだけでなく、刺激を与えてシェアする場としてお互いの哲学が似ている」とコメントしている。
ナレッジキャピタルでは、アーティストによるトークイベントとワークショップを開催している。
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登録はこちらフリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。