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OK GO 世界で一番イノベーティブなロックバンド

2015.02.20

Updated by Ryo Shimizu on 2月 20, 2015, 08:26 am JST

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 OK GOというインディーズロックバンドのコンサートにお呼ばれして行ってきました。
 OK GOがなんだかわからない、という人も、この有名なPVは知っているかもしれません。

 マルチコプターを使ってワンカットで撮影されたこのPVは世界中で大きな話題を呼びました。

 このPVの制作を担当したのは日本のクリエイター、原野守弘氏で、ドコモの「森の木琴」という大胆な映像制作で有名です。

 

 OK GOは1999年に結成されたオルタナティブ・ロックバンドです。

 ダミアン・クーラッシュ(Vo./G.)とティム・ノードウィンド(Vo./G.)が11歳の頃、サマーキャンプで出会った時の先生の口癖「OK...Go」がバンド名の由来だとか。

 その後、仲間を得て1999年にOK GOを結成、以来大ブレイクを果たします。

 OK GOの第一の特徴は、アイデア満載のプロモーションビデオ。

 これは世界中で話題になったトレッドミルの上でダンスするビデオです。
 振り付けにリーダーのダミアンの姉が関わっているそうです。

 私から見たOK GOの魅力は一言で表せばイノベーティブであるということです。
 このPVは2007年にグラミー賞を受賞。Youtubeビデオアワードも受賞しました。

 他にもたくさんのアイデア満載のPVがあり、PVを見ているだけでも飽きさせません。

 明らかに予算のかかっていないものから

 壁紙と一体化したり

 透明人間になったり

 時には自動車を運転したり・・・

 空間を歪めたり

 楽曲を通してうごくルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラスイッチの元ネタのようなもの)を作ったり、しかもそうしたギミックが単なる飾りではなく、楽曲とシンクロしているところが実に見事です。

 そんな世界一イノベーティブなロックバンドのコンサートはどんなものだろう、と興味津々に参加したのですが、これにも非常に驚かされました。

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 突然、客席のどまんなかで歌ったり、客席の声をその場でサンプリングして、それをドラムマシンでリズムにしたまま演奏したり、客席からの質問に答えるコーナーがあったりと、とにかく全編に渡って、イノベーティブな演出が繰り返されます。

 さりげなくやってるけど、物凄い才能がなければそんな芸当はとてもできません。
  

 常に自分たちで新しいもの、面白いものを取り入れて演出していこうという姿勢に、全く畑違いの人間ながら非常に感銘を受けました。こんなコンサートを見たのは初めてです。感動しました。

 原野さんの計らいで楽屋に連れて行っていただき、ダミアンに「凄くイノベーティブなコンサートだった。感動しました」と伝えると、彼は原野さんを通じて私の仕事を知っていてくださり、いくつか話をしました。疲れているはずなのにとてもサービス精神が旺盛で、テンションを維持したまま話をしていただきました。とてもギークで、気さくな人でした。

 会場には半年に一日しか休みがとれないという中村獅童さんや、Perfumeのメンバーも観覧に来ていて、単なる仕事上の付き合いを超えて、いろいろなところにこれだけのファンを獲得していることにも驚きました。

 イノベーティブであること、を維持するのはとても難しいことです。

 
 たとえばある瞬間までイノベーティブだった人が、一年経ったらごく平凡なサラリーマンになってしまう、などということはよく起きます。

 イノベーティブである、という状態は一瞬のことで、一度それでなにか新しいアイデアを実現してしまったら、そこで成長が止まってしまうのが普通の人です。

 例えば、私が大好きなマジックの世界の話でいえば、デイビッド・カッパーフィールドが居ます。
 カッパーフィールドは、マジックの世界の王様です。

 しかし、最近の彼がラスベガスで行っているマジックショウは何年も変化がありません。
 もちろん、完璧なタイミングで練習し、完璧の上に完璧を重ねたマジックのショウだから、それがひとつの完成形だと考えることもできます。

 しかし若いころのカッパーフィールドはもっとイノベーティブでした。
 毎回、新しいアイデアを思いつき、時には失敗をしながらも大衆を魅了し続けました。

 昨日と違う今日、昨年と違う今年、そういうことを意識して自分たちの芸を変えていくには物凄くポジティブなパワーを必要とします。

 そのためには、たとえばOK GOは、原野さんのような外部の才能とのコラボレーションをうまく活用しています。
 OK GOが原野さんを知ったきっかけは、やはり「森の木琴」にあるそうです。

 カンヌ広告祭で原野さんと知り合ったダミアンは「ぜひいつか一緒に仕事をしよう」と原野さんを誘い、それが昨年話題を呼んだ「I Want Let You Down」に繋がっているわけです。

 本人がもともとイノベーティブである上に、さらにイノベーティブな才能を持つ原野さんとコラボレーションすることで、自分たちをさらなる高みに押し上げるという非常に難しい芸当をいとも簡単にやってのけます。

 翻って、自分自身はどうだろう、と考えた時、いろいろと反省させられることが少なくないなと思うのです。
 

 やはりどうしても、自分たちの中だけでアイデアを考えたりすると、殻に閉じこもるというか、アイデアのインブリードが進んで新しいアイデアを作りにくくなります。

 ちょうど今年の頭がそういう状況でした。

 そこで空気を変えようと思い、学生のアルバイトを三人雇い、彼らに毎日議論させ、その様子を観察することで新しい気付きを得たり、他業界の人たちにインタビューをしたりしながら、世の中でこれから何が必要とされていて、何が起きようとしているのかという兆しを見極めているところです。

 イノベーティブさを維持するためには、常に環境を変化させること、研ぎ澄ますだけでなく会社の外部と交流すること、といったことが何より重要だと改めて思っていた所に、今回のコンサートでダミアンと原野さんの関係を見て、彼らがお互いにとって理想的なコラボレーションパートナーなのだということがとてもよくわかりました。
 

 OK GO、音楽に興味のない人も、注目すべきイノベーション・チームです。
 原野さん、素晴らしい機会を用意してくださってありがとうございました。

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清水 亮(しみず・りょう)

ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長CEO。1976年新潟県長岡市うまれ。6歳の頃からプログラミングを始め、16歳で3DCGライブラリを開発、以後、リアルタイム3DCG技術者としてのキャリアを歩むが、21歳より米MicrosoftにてDirectXの仕事に携わった後、99年、ドワンゴで携帯電話事業を立上げる。'03年より独立し、現職。'05年独立行政法人IPAより天才プログラマーとして認定される。