仏メディア・通信関連企業のビベンディ（Vivendi）は欧州時間7日、仏大手携帯通信事業者オレンジ（Orange）傘下のオンライン動画サービス、デイリーモーション（DailyMotion）に対して買収提案を行ったことを発表。提示した買収金額は明らかにされていないが、NYTimesでは、ビベンディがデイリーモーション株式の80%を約2億1700万ユーロ（2億3500万ドル）で取得するとの話も報じられている。

デイリーモーションはオレンジが100%の株式を保有する動画サイトで、オンライン動画市場ではグーグル（Google）のYouTubeに次ぐ第2位の事業者。Hollywood Reporterによれば、デイリーモーションの月間ユニークユーザー数は1億2800万人。ただし、YouTubeには大きく水をあけられており、また広告など収入源への取り組みでもYouTubeに遅れをとっているとNYTimesでは記している。

フランス政府はオレンジ株式の25%を保有している関係で、デイリーモーションの売却に関して影響力を持つとされる。以前に米ヤフー（Yahoo）がデイリーモーション株式の75%取得を目指していた際には、同政府が同サービスをフランス企業の傘下に置くべきとして、ヤフーによる買収に反対の考えを表明していた。また最近でも、香港の通信事業者PCCWが行っていた買収提案に同政府が反対したことから、PCCWは欧州時間6日にこの提案を取り下げたという。

近年事業内容の見直しを進めてきているビベンディは、携帯通信事業者のSFRを売却するいっぽう、カナル＋（Canal＋）やユニバーサル・ミュージック（Universal Music Group）などのメディア関連事業に軸足を移してきている。そのことから今回浮上したデイリーモーション買収もこの方向転換の一環とされている。

【参照情報】
・Vivendi Bids for Video Site Dailymotion as PCCW Drops Out - Bloomberg
・Vivendi in Talks to Buy 80% Stake in Dailymotion - NYTimes
・Vivendi Makes Offer for DailyMotion - Hollywood Reporter