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米ヤフー(Yahoo:以下、ヤフー)が米国時間9日、同社の事業・資産を2分割し、保有するアリババ(Alibaba)株式以外の資産・事業を新たに設立する別会社に移管する考えを明らかにした。分離される事業・資産のなかには、米などでのネット関連事業やヤフージャパン株式も含まれ、これらの行方が今後大きな注目を集めそうだ。

ヤフーは、アリババが昨年秋に米国で株式公開したことを受け、自社の保有するアリババ株式を売却する考えを示していた。また当初は、アリババ株式のほうを新設する別会社に移管することで、売却益にかかる税額を最小限に留める計画も明らかにしていた。ところが、この計画に対して米税務当局が異議を唱えたことから、ヤフーではアリババ株式の含み益を実現するための新たな選択肢を探る必要が生じていた。またマリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)氏のCEO就任から3年あまりが経過した現在でもネット関連事業の再建の見通しが立っていないことなどもあり、先週後半に行われた同社取締役会のなかでは抜本的な事業再編について話し合いが持たれたとの報道も流れていた。

米ヤフーの時価総額は約325億ドル(約3兆9400億円、9日終値)。それに対し、アリババの時価総額は約2053億ドル(約25兆円)で、ヤフーはそのうち約15%(約310億ドル相当)のアリババ株式を保有。また、ヤフーが保有するヤフージャパン株式は全体の35.5%で約85億ドル(約1兆円)に相当(ヤフージャパンの時価総額は日本時間9日終値で約3兆円)。いっぽう、ネット関連事業の潜在価値については、売りに出された場合に30億から35億ドル程度になるのではないかとするアナリストの推定がBloombergで紹介されている。

Bloombergによると、ウェブポータルやビデオ配信などを含むヤフーのメディア事業については、潜在的な売却先としてベライゾン(Verizon)の名前がすでに浮上しているという。

若者をターゲットとしたモバイル動画配信・広告事業に力を入れるベライゾンは、今年に入ってAOLを約44億ドルで買収。またメイヤー氏と同じグーグル(Google)出身者であるAOLのティム・アームストロング(Tim Armstrong)CEOが以前、AOLとヤフーとの合併についてメイヤー氏と話し合ったとする話が一部のメディアで伝えられていたこともあった。

なお、ヤフージャパン株式については今月はじめに、ソフトバンクが獲得に動く可能性があるとする話がWSJで報じられ、また今週はじめにも同様の内容の記事がBloombergに掲載されていた。

ソフトバンクはヤフージャパン株式の36.4%を保有する筆頭株主で、ヤフージャパンはすでにソフトバンクの連結決算対象。また今年6月にはソフトバンクグループ副社長のニケシュ・アローラ(Nikesh Arora)氏が、ヤフージャパンの会長に就任していた。なおアローラ氏は2004年から2014年夏まで、グーグルでチーム・ビジネス・オフィサー(Chief Business Officer)を務めていた。

【参照情報】
Yahoo Provides Update on Planned Spin Off of Remaining Stake in Alibaba Group - Yahoo Inc.
Yahoo to Keep Alibaba Stake but Spin Off Core Businesses - NYTimes
Yahoo Changes Course Under Pressure, Weighs Core Web Spinoff - Bloomberg
Yahoo Shelves Plans to Spin Off Alibaba Stake - WSJ
The Rationale Behind Verizon's Interest in Yahoo's Web Business - Bloomberg
Yahoo’s Internet Business Could Draw Interest From SoftBank - WSJ
The $8.6 Billion Yahoo Dilemma Facing Japan's Second-Richest Man - Bloomberg

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