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[2016年第5週]ドコモも少量利用者向けプラン、IoTソリューション次々に、Pepperが携帯契約

2016.02.01

Updated by Naohisa Iwamoto on February 1, 2016, 16:12 pm JST

ソフトバンクの「5000円以下プラン」に続き、ドコモも月額5000円以下でのスマートフォンの運用を可能にする新料金プランをアナウンスした。単独のプランだったソフトバンクと異なり、ドコモは家族でデータ量をわけあう「シェアパック」を活用した。この週もIoTのソリューションが相次いで発表されたほか、Pepperが契約まで行う携帯ショップ開設の話題や、海水の水柱を通信に使う技術の発表など盛りだくさんのトピックがあった。

利用が少ない人向けの新料金プラン、続く学割競争

まず、キャリア関連のトピックから。NTTドコモは、新料金プランの「カケホーダイ&パケあえる」に新パックを追加すると発表した。目玉になるのは、月額6500円で毎月5GBのデータ量を家族が分け合える「シェアパック5」の投入だ。これまで、家族でデータ量を分け合える「シェアパック」は、月額9500円で毎月10GBの「シェアパック10」が最安のプランだった。シェアパック5の追加により、利用できるパケット量を抑えて料金を引き下げ、パケットの利用が少ない家族の支払いを減らすことができる。3月に提供を開始する予定である(関連記事:ドコモ、5GBを分け合える「シェアパック5」を追加、ライトプランにも対応)。

同じくNTTドコモは、「ドコモの学割」の割引内容を拡充した。拡充の内容は、「ドコモの学割」の対象者と同一シェアグループに加入する家族も、ドコモのスマートフォンを新規契約(MNP含む)で購入すると、基本使用料が最大12カ月にわたり月額800円割り引かれるというもの。「ドコモの学割」は1月21日から受け付けているが、今回の拡充の適用条件を満たすユーザーに対しては遡って適用する(報道発表資料:「ドコモの学割」を拡充)。

ソフトバンクが提供するY!mobileブランドでも、学割キャンペーン「ワン!キュッパ学割」を実施するというアナウンスがあった。25歳以下のユーザーを対象に基本使用料を1年にわたり月額1000円を割り引き、さらに2年間にわたりデータ容量が2倍になるというもの。「スマホプランS」の契約の場合は、基本使用料が1年間は1980円で、月間データ容量が2年間は通常の2倍の2GBになってY!mobileのスマートフォンを運用できる(報道発表資料:Y!mobile、25歳以下のお客さまを対象とした「ワン!キュッパ学割」を開始)。

一方KDDIは、スマートフォンの購入時や購入後をトータルに支援する会員制のサービス「auスマートサポート」のサービス拡充と料金改定を実施するとアナウンスした。シニア層などへのサービス拡充で、ユーザー宅に専門訪問員が出向いてスマートフォンの契約手続きや使い方のレッスンを行う「ご自宅訪問契約(使い方レッスン付き)」の提供を開始する。また、シンプルスマートフォン「BASIO」を購入し、「auスマートサポート」に加入したユーザーには「スマホ訪問サポート(60分コース/初期設定・基本操作)」を無料で提供する特典を追加する。さらに、au契約が10年目以上となるユーザーには、「auスマートサポート」初期利用料3000円を無料とする料金改定も行う(報道発表資料:スマートフォンの購入から使いこなしまでサポートする会員制サポートサービス「auスマートサポート」の拡充について)。

IoTのソリューション提供やセキュリティ対応サービス

IoTなど法人向けのソリューションやサービスのトピックも多かった。TISは、産業機械から取得した稼働データを分析して、故障要因を導き出したり生産性向上につなげたりできるIoTソリューション「メンテりてぃくす」の提供を開始した。メンテりてぃくすでは、産業機械から収集したIoTデータである稼働データを解析することで、「蓄積したデータから業務に影響を与える要因を特定する故障発生パターンの導出」や「生産品の不要原因分析」といった予測分析を可能にする。これにより、生産設備の歩留まり率の工場や、メンテナンスの効率化などの業務改善が実現できるという(関連記事:TIS、産業機械の故障減少や生産性向上を目指すIoTソリューション「メンテりてぃくす」を提供)。

ソラコムは、同社の年次カンファレンス「SORACOM Conference 2016 “Connected.”」基調講演で、新サービス「SORACOM Canal」「SORACOM Direct」「SORACOM Endorse」「SORACOM Funnel」を発表した。ソラコムはMVNOとしてNTTドコモとのL2卸契約を締結し、パケット中継装置以降の機能を全てAWS上で提供するIoT専用プラットフォーム「SORACOM」を提供する。

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新サービスはいずれもIoTセキュリティ向上を担うもので、1月27日に提供を開始した(関連記事:ソラコム、新サービス「Canal」「Direct」「Endorse」「Funnel」を発表 IoTセキュリティを強化)。

スマートフォンを業務改善に活用するアプリの話題。テントなどの大型膜面構造物メーカーの太陽工業は、工事現場の事務作業を効率化するiPhone用アプリ「ミライ工事」を開発し、App Storeで提供を開始した。工事現場の事務作業の流れである「撮影」「出力」「共有」がスムーズに行えるため、太陽工業では1日当たりの事務作業が約20分短縮できるという。このミライ工事は、太陽工業が自社の業務改善の一環として開発したアプリだが、建築・土木にかかわる工事現場で利用することで業界全体の業務改善につなげたいとの思いから、無料で公開した(関連記事:工事現場で事務効率化するiPhoneアプリ、テント構造物メーカーの太陽工業が無料公開)。

今週のMVNO、mineoは「Fun」提供にシフト

1週間のMVNOのトピックを紹介する。まず、「mineo」を提供するケイ・オプティコム。同社は事業戦略説明会を開催し、mineo事業の新たなブランドステートメント「Fun with Fans!」を発表した。今回発表した「Fun with Fans!」という新ブランドステートメントは、従来のMVNOにおける代表的な評価軸である「安さ」や「コストパフォーマンス」ではなく、「楽しさ」という新しい価値を提供しようというもの。

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すでに提供しているユーザーサイト「マイネ王」などを活用し、ユーザーと楽しみながらmineoを盛り上げる仕掛けづくりに注力するという宣言でもある(関連記事:mineo事業の新価値軸「Fun with Fans!」とは -脱「格安スマホ」を目指すケイ・オプティコム)。

インターネットイニシアティブ(IIJ)は、法人向けにSIMロックフリー端末を販売する「IIJモバイルサプライサービス」を開始すると発表した。1月27日からサービスの提供を始める。IIJでは、これまで法人向けにモバイルデータ通信サービス「IIJモバイルサービス」を提供していたが、端末は顧客側が用意する必要があった。今回、IIJモバイルサプライサービスの提供を始めることで、IIJモバイルサービスを利用する法人は端末購入と通信サービス導入、サポートの窓口を一本化できるようになる(関連記事:IIJ、法人向けにSIMロックフリー端末の提供を開始、ワンストップで利用可能に)。

サービス拡充のニュースもあった。BIGLOBEは、モバイル通信サービス「BIGLOBE SIM」に3つの電話オプションを追加した。いわゆるキャッチホンサービスである「割込通話」(月額200円)、「留守番電話」(月額300円)、「国際ローミング」(月額料金無料)の3種類。音声通話サービス契約者が対象で、それぞれのオプションを申し込む必要がある。「国際ローミング」の対象となるのは音声通話とSMS送受信で、データ通信の国際ローミングには対応しない(報道発表資料:BIGLOBEがモバイル通信サービス「BIGLOBE SIM」において、留守番電話など3つの電話オプションを提供開始)。

未来が見える? ロボットが接客、海水がアンテナに

近未来の世界をのぞくようなニュースもあった。ソフトバンクロボティクスとソフトバンクは、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」を活用したロボットだけで接客する携帯電話ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」をオープンする。2016年3月28日から4月3日までの期間限定で、東京都港区に開設する。複数台のPepperを利用し、客の呼び込み、受け付け、来店目的などのヒアリング、商品紹介といった業務をPepperが実施する。客は、Pepperの案内に従って動くことで、新規契約の手続きを終えることができる(報道発表資料:世界初! ロボットだけで接客する携帯電話ショップを期間限定でオープン)。

技術的なトピックで注目したいのが、三菱電機が開発を発表した「シーエアリアル」。海水を噴出した水柱を使って、電波の送受信ができるアンテナの役割をさせようという新技術だ。

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海岸や海上など、海水がある場所で大規模な構造物を作らずに電波が送受信でき、アンテナの移動も簡単だという。将来は、マーライオンがアンテナになって通信するような世界が実現するのかもしれない(関連記事:海水の水柱をアンテナにする「シーエアリアル」、三菱電機が開発)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。