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米司法省(DOJ)が、2014年にニューヨークで発生したドラッグ関連の犯罪に関する捜査で押収した「iPhone 5s」に関し、アップル(Apple)に対してロック解除に協力する訴えを裁判所に提出していた件で、同省が現地時間22日にこの訴えを取り下げたという。

この事件はニューヨークのブルックリンで発生した麻薬密売に関するもので、捜査当局が逮捕した密売人の使用していた「iPhone 5s」に含まれるデータを調べようとしたが、容疑者はロックを解除するパスコードを忘れたとして捜査への協力を拒否。そのため、司法省では昨年、アップルに対してロック解除に協力するよう求めたものの、アップル側はこの要請を拒否し、「司法省が1789年に定められた『All Writs Act』という法律を根拠に、アップルに協力を強制することはできない」との申し立てをブルックリンの連邦地裁で行い、今年2月には同地裁の行政判事がアップル側の主張を認める判決を下していた。

DOJはブルックリンの連邦地裁に提出した書類のなかで、同省がある個人から問題のiPhoneのパスワードを入手できたことでロック解除に成功したため、アップルの協力は必要なくなったと記してしているという。この「個人」について、WSJでは、この事件で逮捕されすでに有罪を認めているジュン・フェン(Jun Feng)氏という人物であるとし、逮捕後にパスコードを忘れたと主張していた同氏が、最近になって自分のiPhoneが大問題に発展していると知り、捜査当局にこれを教えることにしたとする情報筋の話を紹介している。

「iPhone」のロック解除をめぐっては先月、米カリフォルニア州で昨年12月に発生したサンバーナーディーノ銃乱射事件に関し、FBIが外部業者の力を借りながら、テロリストの使用していた「iPhone 5c」のロック解除に成功。これを受けて、DOJはこの件でアップルに求めていた捜査協力要請の訴えを取り下げていた。いっぽう、FBIのジェームズ・コミー(James Comey)長官は先週、「iPhone 5c」のロック解除に使われた方法では「同5s」「同6」などより新しいモデルのロックを解除することはできないとする発言を行っていた。また、同事件のiPhoneロック解除については、必要なソフトウェアの入手などにかかった費用が100万ドルを超えていたなどとする話も報じられていた。

【参照情報】
Federal Prosecutors Drop Court Case to Force Apple to Unlock iPhone - WSJ
U.S. Drops Bid to Force Apple to Help Unlock Second IPhone - Bloomberg
Government withdraws from New York iPhone unlocking case - The Verge

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