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「COMPUTEX TAIPEI 2016」(3)大手各社がIoTへの取り組みや製品を発表

2016.06.15

Updated by Yuko Nonoshita on June 15, 2016, 07:00 am JST

5月31日から6月4日にかけて台北で開催されるアジア最大規模のIT展示会「COMPUTEX TAIPEI 2016」では、昨年に引き続き「IoT」がテーマの一つに掲げられていた。

会場では新しく「SmarTEX」と呼ばれるIoT関連製品を集めたエリアが台北ワールドトレードセンターに設けられ、自動車、ウェアラブル、スマートホームなどの切り口でそれぞれ展示が行われていたが、残念ながらあまり目立つ展示はなかった。

それよりも「CPX Conference」というイベントの「IoT Ecosystem Partnerships」と題されたセッションで、シスコ、エリクソン、AWSらのIoT担当が、それぞれの市場への取り組みについて紹介されていたのが興味深かった。

▼CPX Conferenceでは多くのメーカーがIoT注目し、力を入れていることが紹介された。
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シスコシステムズが注目するIoT活用例の一つにeスポーツがあり「225以上のスタジアムがIoTで世界につながり、新しい体験をもたらしている」という。遠隔からでも試合会場にいるような臨場感を感じられ、ファンが発信、共有する情報も飛躍的に増えることからビジネスチャンスも拡がる。さらに工場から街へとIoTを活用する規模は相乗的に増え、「集められるデータは小さいとはいえ莫大な処理量になるため、デバイス側でも処理するFOGが発展の鍵になるだろう」としている。

▼IoT関連に力を入れているシスコは注目しているジャンルや技術について紹介。
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エリクソンのIoT担当者は「2021年には280億のデバイスがネットワークにつながり、データを処理する場としてパブリッククラウドと企業のデータセンターの2つに分かれるだろう」と説明。ほとんどが無線での接続になることから「5Gの普及は不可欠で、Wi-FiやBluetoothとどのように連携させていくかが鍵になる」とし、通信機器メーカーにとっても見逃せない動きは始まっているという。

▼IoTにはより早い通信速度と対応規格が必要になるというエリクソン。
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IoTソリューションに求められる4つの要素

AWSの担当者は「IoTソリューションに求められるのは効率、規模、セキュリティ、コストの4つだが、2020年には接続されるデバイスの数が爆発的に増え、マシンラーニングなども導入していかなければ市場のニーズに対応しきれなくなるだろう」と分析。「IoTアプリの開発やわかりやすいサービスへの展開が重要」として「Amazon Dush Button」の例などを紹介した。

▼AWSはIoTではボタン一つで商品を発注したりアイデアとアプリでビジネスチャンスが拡がると説明する。
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IoT向け無線ネットワークプロトコル「Thread」規格の導入促進を目指すThread Groupは、230の企業や組織が加盟しており、主に家庭向けIoTのアプリ開発を促進していくことをあらためて紹介した。IoTの標準規格については複数の団体が創設されており、競争が激化していることから、プロダクト開発でNXP、ARM、SILICON LABSらとの連携を強めていくと発表している。Thereadの強敵であるAppleの「HomeKit」もWWDCでiOS 10との連携を強化しており、今後の動きに注目する必要がありそうだ。

▼Thread Groupは標準規格の進化と参加企業が増えていることを強調していた。
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NXPはIoTが生活の中に入り込み、セキュリティ性の高さと使いやすさの両立が必要となることから、それらのニーズに応えるi.MX 8マルチセンサリー・イネーブルメント・キットを開発したと紹介している。ジェスチャーコントロールやARなどを採用したユーザーインターフェイスにも対応でき、IoTの可能性を拡げていくとコメントしている。

▼セキュリティやビジュアル表現といった高度な技術への対応製品の開発に力を入れるというNXP。
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ウェアラブル、IoT向けのチップセットもバリエーションが拡がる

IoT市場に向けた製品としては、Qualcommがプレス向けの発表会でIoT向け無線LAN内蔵の「QCA 4012」と、家庭向けの無線LANチップの「QCA9984」と「QCA9886」、そしてSoC向けの「IPQ40x9」を発表している。接続できるデバイスを選ばす、エンターティンメント系の大容量データを扱うことができ、ネットワークへの汎用性も高いのが特徴だ。

こうしたチップを活用する事例として、働く女性がスーパーで買物する時にIoTに対応した冷蔵庫から中にあるものをチェックし、オススメレシピを元に購入リストを自動で作成するアプリサービスを紹介している。

▼Qualcommはプレス向けイベントでIoT向けチップセットの新製品を複数発表した。
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▼なかなかわかりにくいIoTの活用例として献立支援サービスを紹介していた。
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また、2月に発表したウェアラブル向けプロセッサの「Snapdragon Wear 2100」に続いて、既存製品より45%サイズダウンして7日間LTEが使える「Sanpdragon Wear 1100」を発表。Android用の2100とは異なりLinuXやRTOSを対象とし、セキュアな仕様であることから、キッズ向けスマートウォッチなどへの搭載を進めている。会場ではそれぞれの用途にあわせてSnapdragonを採用したパートナー企業が製品も紹介された。

▼小さく長く安全に使える「Sanpdragon Wear 1100」はキッズ向けウェアラブルなど向きに開発された。
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▼会場ではSanpdragonを搭載したパートナー企業の製品が展示されていた。
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まだ混とんとしている印象のあるIoTだが、開発技術や対応製品、規格の標準化などが急速に進んでいることが今回よくわかった。こうした流れを受けて、来年は目を引くようなIoT関連の展示が増えることに期待したい。

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。