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自動車の安全性をIoTで高める--危険注意喚起やトラブル時の対応などに活用

2016.11.29

Updated by Naohisa Iwamoto on November 29, 2016, 06:25 am JST

コネクテッドカーや自動運転自動車などに向けたクルマのスマート化は着実に進んでいるが、もっと身近に自動車とIoTの連携を活用する動きが相次いでいる。その話題の中心にあるのは、IoTの自動車保険への応用である。

自動車保険は、一般的には事故に遭わない限り、ドライバーとの接点があまりない。事故が起きた時だけのサポートだけでなく、日常の運転も含めて自動車保険がドライバーに価値を提供できれば、サービスの差異化につながる。さらに、IoTを活用した安心・安全の提供が可能になれば、根本的な事故そのものを減らす可能性も高まる。

●ボタンを押すだけのIoTデバイスで緊急時に位置情報を送信

セゾン自動車火災は2016年11月28日、「おとな自動車保険」にIoTを活用した新サービスを提供すると発表した。IoTデバイスは、2016年4月に提供を開始した「ALSOK事故現場安心サポート」の充実と、日常の安全運転支援の新サービスに活用する。IoTを活用した新サービスを希望した契約者には、ACCESSと共同開発したIoTデバイス「つながるボタン」を配布する。つながるボタンは、スマートフォンにインストールした「つながるアプリ」と通信して利用する。

日常運転時には、「つながるボタン」のセンサー情報を基にして、アプリで「運転スコア」「エコドライブ」「危険挙動」「走行マップ」のドライブレポートを確認でき、安全運転の支援を行う。事故やトラブル時には、「つながるボタン」を押すことでアプリを経由してセゾン自動車火災に位置や契約情報が送信され、必要なサポートが受けられる。ボタンを押せない状態でも、一定以上の衝撃を感知した場合には自動的に位置情報を送信する。ALSOK事故現場安心サポート」による事故現場への駆けつけサービスなどが受けられ、トラブルや事故に迅速に対応が可能になる。2017年7月1日以降に開始される契約が対象となる予定だ。

●通信機能付きIoTデバイスが日常からトラブル時まで安全を支援

パイオニアは11月25日、デジタル地図を活用した「事故リスク予測プラットフォーム」を構築し、このプラットフォームを常時通信型のIoTデバイスと連携させることで、運転の予防安全の実現を目指す先進運転支援システム「Intelligent Pilot」を開発したと発表した。Intelligent Pilotは、既販売車にも搭載可能なIoTデバイスを開発して利用する。IoTデバイスは、NTTドコモのLTE回線で常時ネットワークに接続する機能を備えるほか、走行状態を把握する車載フロントカメラ、2インチの液晶モニターを備える。

事故リスク予測プラットフォームとのIoTデバイスの連携により、事故や危険を予測した注意喚起や警告が行える。具体的には、同社がこれまでに蓄積してきたプローブデータから得られるヒヤリハットにつながる「急減速多発地点データ」を基にし、時間帯、天候、災害情報、車両の走行速度や運転手の運転傾向を加味して危険を予測する。IoTデバイスは、通信機能を活用した各種テレマティクスサービスへの応用や、ドライブレコーダーとしての利用、衝撃を検出した際には前方映像を録画してクラウドサービスと連携するといった利用も可能だ。

Intelligent Pilotは、東京海上日動火災保険が同日発表した個人向け自動車保険「ドライブエージェント パーソナル」に採用される。この自動車保険は、2017年4月に提供を開始する予定だ。

●自動車保険など新サービス構築を容易にするプラットフォーム

モビリティ向けIoTプラットフォーム「クルマツナグプラットフォーム」を手がけるスマートバリューも、自動車保険への適用を想定したIoTプラットフォームのリニューアル提供を11月25日に発表している。リニューアルした同プラットフォームでは、運転動態データを、瞬時に分析・加工し、一部のデータをほぼリアルタイムで見える化することが可能になった。このプラットフォームを活用することで、自動車保険を含む自動車関連の新しいサービス提供を容易にする。

【報道発表資料】
もっと安心して、もっと楽しくクルマを運転できるIoTを活用した新たな自動車保険の提供
デジタル地図を活用した「事故リスク予測プラットフォーム」を構築し、既販売車に搭載可能な先進運転支援システム「Intelligent Pilot」を開発
本格的IoT導入を実現する運転動態データをリアルタイムで配信!モビリティ向けIoTプラットフォーム『クルマツナグプラットフォーム』サービスサイトリニューアルのお知らせ

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。