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①不便益研究とは何か

2017.03.03

Updated by Toshihiro Hiraoka on March 3, 2017, 06:00 am UTC

「不便益(不便の益:Benefit of Inconvenience)」とは、手間がかかることで得られる益のことだ。これは、手間がかかること(=不便なコトやモノ)によって得られるタスク達成や、能力向上といった客観的な益だけでなく、そのことによって行為主体たるユーザが感じる主観的な益をも含む。手間をかけて客観的な益が得られることによって、自己肯定感が醸成されたり(「できた!」「私はやればできる!」)、動機づけを内在化することができる(「もっと使いたい!」)。このような手間をかけることによる嬉しさや楽しさが「不便益」だ。

便利なモノやコトを不便なモノやコトに再設計することで、現状の益とは異なる益を生み出すことができる。また、ユーザが手間をかけられないために害になっているサービス(便利害)を不便益に変えることも可能だ。

第1章では、不便益の定義と、その価値を考える。

不便益とは

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平岡 敏洋(ひらおか・としひろ)

京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 助教。1970年福岡生まれ。1994年京都大学 工学部 精密工学科卒業。1996年京都大学大学院 工学研究科 精密工学専攻 修士課程修了。同年松下電器産業(株)入社。1998年京都大学大学院 情報学研究科 助手、2007年同研究科 助教となり現在に至る。博士(情報学)。人間機械系の研究、とくに自動車の運転支援システムに関する研究に従事している。車両運動力学、制御工学、インタフェース設計論、心理学、ゲームニクス理論などといった複数の分野を横断する学際融合的なアプローチで、運転者に対して、運転技能の向上を促すだけでなく、より良い運転に対する動機づけを行う運転支援システムの構築を目指している。2013年に計測自動制御学会論文賞(友田賞)、2014年に自動車技術会論文賞を受賞。計測自動制御学会、自動車技術会、日本人間工学会、国際交通安全学会、IEEEの会員。