original image: © sergei_fish13 - Fotolia.com
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人口が増え続ける地球では、エネルギー問題、食料問題と並んで、飲料水の安定供給が大きな課題となっている。
エルサレムの「Lishtot」(2015年設立)の「TestDrop Pro」は、水質を短時間で検査することができるガジェット(価格は49.95ドル)。キーホルダーほどの大きさで持ち運びが可能。細菌、有機物、重金属、農薬、毒素などの汚染物質が水の中で作る電場の歪みをセンサーで検出するという。
水道水を安心して飲むことができる日本では想像しにくいが、川の水がきれいとはいえない地域では、生水を安心して飲むことは難しい。水をコップに入れてTestDrop Proの先端を向け、青いLEDが光れば汚染物質がなく、赤ければ何かが入っていることが分かるため、自宅の水道だけでなく、旅行先などでも自分である程度の水質検査が可能となる。Lishtotはヘブライ語で「飲む」という意味。
テスト結果は、Bluetoothでスマートフォンのアプリに送ることができる。写真や場所のデータとともに記録を残すことができ、自分で管理することもできるし、同社が作成しているグローバルな水質マップに送って反映させることもできる。
旅行だけでなく、地震などの災害で水道が壊れた場合や復旧した場合などにも活用できる。水質汚染の恐れがあるとき、どの国でも当局が利用者に煮沸を促す警告を出すが、警告までに時間がかることが多い。このデバイスが普及して、赤信号をクラウドに集める仕組みが機能し始めれば、当局からの警告よりもずっと早く、近くの住民にそこの水が安全かどうかを伝えられるようになるかも知れない。
空気を使って水(water)を生む(generate)技術を開発しているのが、「Water-Gen」(2009年設立)。こちらの製品はガジェットのように持ち歩くものではなく設置する設備で、空気中の水分を高効率で抽出するAWG(大気水発生器:Atmospheric water generator)モジュールを有する。当然ながら、周囲の空気の除湿も同時に行うことができる。大型の装置なら、湿度にもよるが1日に6000リットル、中型でも600リットルの水を作ることができるという。
地球の7割は水、といわれることがあるが、飲むことができる水は少ない。その多くは、極地で氷になっている。同社製品は、インドなどで導入が始まっている。
衛星からの画像を分析することで漏水を検出する技術を持っているのが「Utilis Israel」(2013年設立)。水道管のトラブルで家の中で水が漏れているといったことは衛星からは分からないが、都市の水道システムの漏水はマイクロ波のイメージングから検出が可能で、早期に漏水を検出して水道当局に通知し、迅速な対策を支援するのが目的。
「TaKaDu」(2009年設立)も漏水検出の技術を開発している。宇宙からの映像は使わず、水道ネットワークに投入する水の量、オンライン・センサーが検出する水圧と水量のデータ、天候、カレンダー情報などを分析して、漏水やメーター故障などの異常を検出し、水道局などに提供するSaaS型ソリューション。すでに10カ国に導入されているという。水道システムは、各国で老朽化対策が求められていて、大きな設備投資を伴わずに導入が可能なTaKaDuの技術は高く評価されている。
「Desalitech」(2008年設立)は、ReFlex逆浸透(RO)システムで閉回路式淡水化(CCD:closed circuit desalting)プロセスを備えた浄水システムを展開している。イスラエルで創業した同社は、2013年にはアメリカのボストンに移転。工場、市町村、農業に対し、効率の高い水処理施設を供給している。
技術をデモンストレーションする目的で、同社はボストンを流れるあまり美しいとはいえないチャールズ川の水を同社の技術で浄化して、ビールを醸造している。ボストンを始めとして水道水の浄化に苦慮している地域では、水道料金が高く設定されており、エネルギー消費が少なく効率よく浄化できる技術への需要が高くなっている。
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