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フライドチキン 骨 イメージ

ケンタッキーフライドチキンとITエンジニアの賃金の関係

KFC and the wage of IT engineers

2018.02.23

Updated by Mayumi Tanimoto on February 23, 2018, 13:00 pm JST

先日、英国で「KFC crisis」 という事件が重大な社会問題として注目されました。KFC、つまりケンタッキーフライドチキンの英国における900店舗の約半分が閉鎖されてしまったのです。

KFC chicken shortage causes chaos as police tell customers to stop calling over branch closures 

KFCによれば、南アフリカから鶏肉を調達していたのですが、ロジスティックスの問題があり店舗に鶏肉が届かない状況になってしまい、材料がないので閉店せざる得なかったということです。

この「ロジスティクスの問題」というのは、配送を担当していたDHLが「オペレーション上の問題がある」と発言しているので、配送システムに何か問題があったのではないかとされています。

いきなり大量の店舗が閉鎖されてしまったので、パニックになった消費者が地元の警察に電話をしまくったり、110番(英国だと999です)に電話するという騒ぎになってしまっており、 地元の警察や国会議員が「邪魔なので連絡をしないでください」と注意喚起する騒ぎになっています。

ところで、KFCの閉鎖がなぜこのような大騒ぎになるかというと、英国の特定の人々の間ではKFCがほぼ主食のような状況になっているからです。

英国は、日本に比べるとはるかに料理をする人が少ないので、マクドナルドやKFCが大人気です。ちょっとガラの悪い地域や貧困地域に行くと、バスの車内や道路にフライドチキンの骨、KFCの箱や袋が転がっているのがデフォルトです。そのくらい食べる人が多いということです。

スクリーンショット 2018-02-23 00.19.42

KFCの騒ぎはまだ収束していないのですが、この事件は英国のITエンジニアの賃金が日本よりもはるかに割高なのと関係があります。

システム全体のサービスまで考えると英国のシステムというのは落ちることも多く、インシデントも頻繁だったりするので、故障することを前提にサポートの仕組みを整えたりKPIを設定したり、 サービスレベル合意書をきちんと決めることになっています。

プロセス管理や権限分掌もきっちり行います。これは間違いが起きた場合に「誰が」「何を」「やったのか」が明確になるからです。私の専門の一つはこのようなプロセスの適正化や品質管理なのですが、北米や欧州では需要が高いのですが、日本では低めです。

故障すること、インシデントが当たり前という状況だと、 事故が起こると困るシステムほどITエンジニアには高い賃金を払ったり雇用状況を良くして品質を高めるようにします。

例えば、失敗が多大な損失に繋がってしまう金融や石油業界では ITエンジニアの賃金というのは高めです。 個人事業主であっても日給10万円近くを稼ぐこともあります。

このような好待遇というのは「問題が発生することは当たり前である」いうことの裏返しです。

ところが日本の場合は、付加価値が低いシステムやサービスであっても「間違いが起きないことが当たり前」であるという考え方があるために、 安い賃金やひどい待遇でも完璧な仕事をするということが前提になっています。

ですから、キーとなる仕事をする人に対してリスク回避も含めて価値相当の高い賃金を払うという仕組みになってないわけです。

パイロットや電車の運転手、医師、燃料運搬トラックの運転手などは、比較的高めの賃金を支払われることが一般的なのと同じです。日本では、今回のKFCのような事件は起こることがあまり想像できませんが、つまりそれは安い賃金でも完璧に仕事をこなす人達が大勢いるからです。

働く側は、良かれと思って一生懸命働いているわけですが、実は自分の首を絞めているということですね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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