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日本のシステムのインタフェースが複雑な理由

Why Japanese system interfaces are complicated

2018.03.27

Updated by Mayumi Tanimoto on March 27, 2018, 13:00 pm UTC

日本でシステムや自販機を使って気がつくことの一つに、そのインタフェースが大変複雑なことがあります。細かい機能は多数実装されているのですが、字が多かったり、ボタンの数が多かったり、操作手順が複雑だったり、システムを使う前にまずその操作法をマニュアル片手に学ばなければならなかったりします。

複雑なシステムの代表は、日本のセブン-イレブンのコピー機でできるネットプリントやVプリカを買える仕組みです。わかりやすくはなっていますが、しかしあれはお客さんがコピー機を使いこなせることが前提で設計されています。

使いこなせることが前提というのは、日本の人は教育レベルが高いので、設計者側としては、ユーザーが使用方法を理解し、説明書を読むこと、また説明書に明記された字を読むことができること、複雑な手順を理解できることを前提にしています。

これは、駅の券売機や自販機も同じです。ボタンが大量にあり、字がたくさん書いてあり、複雑な機能があり、高度なサービスを提供しますが、ユーザーは直感だけでは使い方がわかりません。業務用システムや行政のシステムも同じで、概して複雑で、直感的に分かる仕組みではありません。

英国でもイタリアでも、セブン-イレブンにあるような高度なコピー機はありません。当然、ネットプリントのような高度なサービスもなしです。ホコリだらけのタバコ屋に置いてあるのは、30年前のコピー機です。あんな複雑で高度なコピー機があっても、誰も使い方がわからないし、ボタンを連打したり、お客さんが物を投げつけて壊してしまう可能性が高いので店には置けません。

当たりくじが出るような高度な自販機も当然ありません(そもそも日本の様に自販機をあちこちに置くのは不可能なのですが。石や鉄棒で破壊され中のものが盗まれてしまうので)。

一方で券売機や業務用システムは驚くほど単純で、ボタンの数や字は極力少なくなっています。そうしないとユーザーが理解できないからです。最初からユーザーは学ばないものだと諦めて単純化し、最小限の機能しか提供しないわけです。字が読めないこと、ボタンを無理やり連打してしまうこと、間違えることが前提です。

ただしその単純性というのは、実は多様化に対応する強みでもあります。現地語が母語ではない人、高齢者、字があまり読めない人でもわかるようになっています。つまり、諦めた結果がユニバーサルデザインです。さらに、単純であればメンテナンスも製造も楽ですから、業務量が減り家に早く帰れます。こういう「諦め」が欧州のワークライフバランスが保たれる理由です。

複雑にしすぎる日本の機械やシステムは、相手への期待度が高いことの裏返しですが、実はそれは日本の強みでもあり弱みでもあるわけです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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