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ロックダウンでFintech需要が増加

Fintech demand up during the lockdown

2020.09.23

Updated by Mayumi Tanimoto on September 23, 2020, 17:38 pm JST

ロックダウンの最中に働き方や買い物をオンライン化する利点や、ストリーミングの利点を「発見」した人が少なくありませんが、イギリスに関しては消費者向けの金融サービスにも激烈な変化が訪れています。

Yobotaが2千人のイギリスの成人ユーザーに調査を実施したところ、2020年の3月以来、64%のユーザーが自身のお金の管理にFintechを使用しており、ロックダウン前に比べなんと42%も増加しています。

ユーザーが使用するサービスでは、口座の確認が88%と最も多く、ついで送金80%、投資からの資金の引き出し35%、金融商品の検索27%となっています。

26%は預金口座を開設し、18%はクレジットカードに申し込み、17%はオーバードラフトの制限金額を上げたと答えています。

オーバードラフトというのは、イギリスの当座預金口座に付帯するサービスで、口座の残金が足りなくなると銀行が自動的にお金を貸し付けてくれるサービスです。利用制限金額をオンラインで変更することが可能です。

ロックダウン中に経済的に厳しくなり、オーバードラフトを融資代わりに使用する人が増えたようです。

さらに、21%が「人と話さないで金融商品を購入する」と回答しているのが大変興味深いです。イギリスの消費者向けの金融サービスは、オンライン化がかなり進んでいるのですが、それでも金融商品の購入に関しては対面で申し込んでいた人が、ロックダウンの最中にオンラインに移行した、ということです。

つまり、これまで支店に足を運んでいたような中高年がオンラインサービスを使い始めた、ということですね。この流れは今後も加速し、人員削減や支店削減に繋がっていくでしょう。

一方で、サービスに不満を抱くユーザーもおり、15%が銀行の技術に不満があり、18歳から34歳の間では28%に達しています。

Fintechサービスの中には、若干不安定になったり、使用感にまだまだ改善が必要なものも多いので、特に若年層には不満が残るようです。

31%は「ロックダウン中に、様々な技術を使ってお金を管理できることに気が付いた」と述べており、 42%は銀行の支店が再開しても技術を使い続けると回答しています。

また、驚くべき回答といえるのが、「今後、金融サービスを使用する際には、技術提供の有無を最も考慮する」というのが47%に達していることです。イギリスの消費者は、金融サービスに関しては商品の質や金利を重視していたので、これは大変な変化です。

技術面で腰の重い既存の大手銀行に対して、かなり厳しい要求を突きつけることになるのではないでしょうか。

スマホファーストのサービスに関しては、大手銀行のアプリは使用感がかなりイマイチでスピード感にも欠けるので、若年層ユーザーはFintech系サービスに流れていくでしょう。

大手銀行は、スマホファーストの銀行とは異なり、比較的コストの高いトークンを提供しているところもあるので、セキュリティ重視のユーザーに対しては、今後も優位性が残るとは思いますが、FintechのKYC(顧客の本人確認)やアプリの機能性などから学ぶ点は多いはずです。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。