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テック企業が明確な内規を持つ必要がある理由

Why Tech companies must have clear internal rules

2018.08.27

Updated by Mayumi Tanimoto on August 27, 2018, 07:00 am UTC

以前の記事で外国人が日本に増えると利用規約や契約などを明確に書かなければトラブルが増えるということを書きました。これは、日本が集団主義の国であり非言語的なコミュニケーションというのが社会で重要視されているからです。

思想や意見というのを言語化して相手に単刀直入に伝える、ということの優先順位が低いわけです。

もちろん、個人主義の国にある北米や欧州北部でも阿吽の呼吸や本音と建前といったものはありますが、日本に比較相対すると物事をはっきり伝えることの方が多いです。

こういった文化背景がありますので、北米や欧州の北部というのは、思想や主張を言語化して伝えることが大変うまく、 また幼少期から言語化する訓練というのを徹底的に行います。

実はこういった明瞭な文章というのは、多様なユーザーや従業員がいるテック企業にとっては死活問題にも関わります。

例えば文化背景が様々な従業員がいる場合、企業内の禁止事項や承認事項は誰でも理解ができるように明瞭に書かれていなければいけませんし、雇用契約書や内部統制の文書ときちんと統制が取れていなければなりません。そこに抜けがあった場合は、訴訟問題に発展することも少なくありませんから、大変慎重な姿勢で臨まねばなりません。

ところが日本の場合、多くの企業ではこういった内規や雇用契約書の記載内容というのが非常に曖昧なことが多いため、海外の人達から見ると、一体何が禁止されており何が許されているのか、雇用側と従業員の合意は一体何なのか、ということが大変分かりづらくなっています。

例えばこの例は、勤務中に弁当を注文しに行って処分されてしまった、という神戸市職員の件です。

勤務中に弁当注文。中抜け3分を半年で26回した神戸市職員を処分 厳しすぎ? の声も

この男性は、勤務時間中に近くにある飲食店に弁当の注文をするため、3分程度の中抜けを半年間に26回し、半日分の減給となりましたが、このような件の場合、雇用契約や内規に、

・一体何を以て職務怠慢と書かれていたのか

・弁当の注文とタバコ休息の違いは何か

・弁当の注文では処分されるが、構内の食堂で昼食をとっていた場合は職務怠慢と考えられるのか

・そもそも中抜けとは一体どういったことを指すのか

といったことがきちんと明文化されて従業員と合意されていたのか、ということが大変気になります。

おそらく多くの日本の組織では、こういった事柄は文書化されておらず、かなり曖昧になっているので、処分するかしないかは管理職や幹部の裁量によるのでしょう。

ところが北米や欧州北部の場合は、曖昧な状況で処分をした場合、その人を人種的また思想的に差別したとされる可能性もありますから曖昧な記述は残しておくことができません。

おそらく、私がこの神戸市の職員で内規や雇用契約書に休息をとは何か、タバコ休息と昼食の注文の違いは何なのか、といったことがはっきり明記されていないのであれば、神戸市に対して訴訟を起こしているでしょう。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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