画像はイメージです original image: jat306 / stock.adobe.com
「ビジョナリー」になれない日本の組織
Japanese organizations cannot be visionary
2021.02.08
Updated by Mayumi Tanimoto on February 8, 2021, 17:36 pm JST
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Japanese organizations cannot be visionary
2021.02.08
Updated by Mayumi Tanimoto on February 8, 2021, 17:36 pm JST
日本企業のデジタル・トランスフォーメーションが他の国に比べてなかなか進んでない、ということがいわれ、その理由として「技術不足」あるいは「企業の文化が邪魔をしている」などが指摘されています。
しかしそれ以前に、日本の組織がデジタル・トランスフォーメーションというものを、他の国と異なる形で捉えていることも原因の一つでしょう。
この点に関してはInfosysが実施した「Infosys Digital Radar 2020: Breaking through the digital ceiling」という調査におけるデジタル成熟度と企業の立ち位置に関する定義が非常に参考になります。
同調査では、各企業を3タイプに分けて、企業の態度とデジタル成熟度を比較しています。
・ビジョナリー:デジタルの潜在性を理解しビジネスを完全に変革する
・エクスプローラー:ニーズに応じてデジタルプログラムにコミットし顧客の体験を高める
・ウォッチャー:デジタルを効率性の側面から見る
この調査は、各国の大企業の幹部以上の人々に聞き取り調査を行ったものですが、デジタル成熟度が高くデジタル・トランスフォーメーションが進んでいる国には「ビジョナリー」と定義される企業が多くなっています。
これを日本でのデジタル・トランスフォーメーションといえる取り組みに当てはめてみた場合、日本の組織の多くは「ウォッチャー」に該当します。
あくまで「効率の点からデジタル・トランスフォーメーションを議論」しており、新たな価値を創造する、ビジネスを完全にデジタル化するという視点が抜け落ちている組織が多いのです。
例えば日本では、
・確定申告書をデジタルフォームに置き換える
・Faxで集めていたデータをシステムに置き換える
・目視の本人確認を運転免許証の写真の送信に置き換える
といった試みを目にすることが多いのですが、これはあくまで「ウォッチャー」的視点です。
単に業務を効率化しているに過ぎず、そこからどういった付加価値を生み出すか、 ビジネスモデル自体をどう変革するか、という視点が抜けているので「ビジョナリー」にはなり得ません。
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