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島薗進氏

【島薗進氏による私塾】死にゆく人と愛の関係を再構築する技術 第3回:喪失と 弔いと 魂のふるさと 2021年7月21日開催

2021.06.29

Updated by Susumu Shimazono on June 29, 2021, 13:18 pm JST

グリーフケア研究所所長・島薗進氏のオンライン私塾の第3回を開催します。

今回の題材は「喪失と 弔いと 魂のふるさと」。ゲストには浄土宗光照院の住職で、臨床仏教研究所研究員の吉水岳彦氏を迎えます。

吉水氏は2008年に生活困窮者の共同墓「結の墓」を建立。2009年には炊き出しや配食を行う「ひとさじの会」を発足させました。

「結の墓」はかつて路上生活を送っていた男性が「死んだ後も墓の中で仲間と一緒にいたい」と話したことがきっかけで生まれた共同墓。死後の行き先を示しておくことが、今を必死に生きるための励みになると考えてつくられました。

吉水氏はほかにも、路上生活者などの葬送支縁、炊き出し夜回り、災害支援に取り組みながら、病院のスピリチュアルケアワーカーとしての活動を続けています。

今回もトークの後には、オンライン交流会を開催します。前回は参加者の皆さんに、受講の動機やグリーフケアに思うことなどをお話しいただき、改めてグリーフケアの役割を知るきっかけができました。今回もまた皆さんのお話から「死にゆく人との愛の関係を再構築する技術」を多く学べるはずです。

もちろん、交流会には島薗進氏や吉水氏も参加。疑問に思ったこと、より深く聞いてみたいことを直接お話しいただけます。

前回までに続き、聞き手は医療・科学ライターの小島あゆみ氏が担当。医療現場を取材するなかで培った知見を基にグリーフケアを学ぶお手伝いをします。

第1回、第2回にご参加いただけなかった方にとっても有意義な内容にしていきますので、奮ってご参加ください。

また、お申込みいただいた方が当日お時間に都合がつかなくなった場合には、動画アーカイブでオンデマンド視聴を提供しますので、ご安心ください。

メインスピーカー・島薗進氏より:魂のふるさとに帰るということ

死んだらどこへ行くのか?「魂のふるさとへ帰る」という感覚もあるのではないか。「故郷」という唱歌の3番に「志を果たしていつの日にか帰らん」とあるのを、そういう意味ととることもできると教えられて、ハッとしたことがある。

〈海の彼方に魂のふるさとがある〉という日本人の深層意識に注目した詩人・民俗学者・国文学者が折口信夫だ。ちょうとスペイン風邪で人々がバタバタと亡くなっていった1920年に、「妣が国へ常世へ」という文章を書いている。

そこでは、海の向こうに神と先祖がいるニライカナイという他界があるという沖縄の文化伝承のことも語られている。そして、記紀神話のなかで、スサノオノミコトが「お母さんイザナミのいるあの世に行きたい」と泣き喚いたり、神武天皇の兄のイナヒノミコトが「お母さんタマヨリヒメのいる海の国へ行きたい」といって去っていったりしたという逸話も語られている。

折口信夫は後に、西方極楽浄土への往生を祈る信仰とこの〈海の彼方に魂のふるさとがある〉という信仰との連続性について述べている。大阪の四天王寺には、真西に沈む太陽を拝み、念仏を唱える日想観の行事が伝わっている。沈む夕日のように、阿弥陀仏が山の向こうに姿を現す「山越の阿弥陀像」は日本で案出されたものだという。

夕日は魂のふるさとを思わせるものとして、日本人の深層心理に伝えられてきたようだ。三木露風作詞「赤とんぼ」の「夕焼け小焼けの赤とんぼ」(1921年)にも、金子みすヾ(1903-30)の「灯籠流し」という童謡歌詞にも海の彼方の魂のふるさとという表象がある。

弔いのとき、人はともに手を合わせ、追悼の言葉を唱える。亡くなった人に別れを告げるこの所作がなぜ、これほどに大切なのだろうか。財を失い、孤立し、住む家にもことかくような生活を余儀なくされた人たちも、仲間の弔いをとても大切にする。ともに魂のふるさとに帰るという感覚につながるものがあるのではないだろうか。

仏道を歩みながら、路上生活者の生活支援を行い、その弔いを大切にし、続けてきているひとさじの会の若手僧侶の方々は、人々の弔いへの意思に強い印象を受けている。そこにグリーフケアの重要な側面が示されているとともに、日本の文化の深層につながる何かも見てとることができるのではないだろうか。また、こうしたいのちの現場から、そこここに孤立化の苦難が露呈する現代社会で、グリーフケアが求められ、学ばれるゆえんも見えてくるのではないか。

プログラム

19:00 島薗氏によるトーク
19:50 吉水氏によるトーク
20:30 休憩
20:40 ダイアログ
21:00 質疑応答
21:30 オンライン交流会

※プログラムの内容・順番・時間などは予告なく変更となる可能性がありますのでご了承ください。

スピーカープロフィール

島薗進氏島薗 進(しまぞの・すすむ)
1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。

吉水岳彦氏吉水岳彦(よしみず・がくげん)
1978(昭和53)年12月、東京生まれ。大正大学人間学部仏教学科浄土学卒。論文「霊芝元照の浄土教」で博士号(仏教学)取得。2009年に若手僧侶と「社会慈業委員会 ひとさじの会」を発足。ホームレス状態にある人や身寄りのない人の葬送支縁、浅草山谷・上野地域における炊き出し夜回り、東日本大震災被災地支縁に取り組む。2016年からは病院のスピリチュアルケアワーカーとしても活動。現在、浄土宗光照院住職、臨床仏教研究所研究員、大正大学非常勤講師、淑徳大学兼任講師、上智大学グリーフケア人材養成講座非常勤講師、東京慈恵医科大学病院非常勤講師。著書に『お坊さんも学ぶ仏教学の基礎②』中国・日本編(共著・ティーマップ)、『お袖をつかんで』(てるふる)等。

※上記の「支縁」という言葉は、「既存のご縁を支え」、「新たなご縁を結び」、いつの日かわたしたちも「互いに支い合えるご縁」となることを意味する造語。

開催スケジュール等

●日 程:2021年7月21日(水曜)19:00~(約2時間のトーク&ディスカッションの後、交流会を開催)
●会 場:Zoomを利用したオンラインイベントです。
お申込みいただいた方には、前日までに参加URLをメールにてお送りします。
●参加料:¥4500(税込)
※チケットの購入期限は当日7月21日の18:00までとさせていただきます。
●オンライン交流会:Zoomミーティングを使用したオンライン交流会を開催します。
●主 催:WirelessWireNews編集部(スタイル株式会社)

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島薗 進(しまぞの・すすむ)

1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。