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コロナ禍ではっきりした未来の「営業」スタイル

The future of sales jobs

2022.01.18

Updated by Mayumi Tanimoto on January 18, 2022, 11:14 am JST

アメリカの大手製薬会社であるファイザーが、新年早々、数百の営業ポジションをリストラすることが報道され、イギリスでも話題になっています。

Pfizer to slash ‘few hundred’ sales jobs as doctors opt for virtual meetings(CITY A.M.)

ファイザーは、イギリスだけではなく欧州にも営業拠点がありますので、このリストラが現地の製薬系人材の雇用へ影響を及ぼす可能性が高いわけです。キャッシュが豊富で経営基盤が強固な会社でさえ、このような大胆なリストラを始めているのです。

病院や医師らは、対面でのミーティングではなく、バーチャルな環境で営業担当者と話したいため、営業担当者が以前ほど必要なくなっているのです。同社は営業の半数程度は他の業務へ振り替えると発表しています。

コロナ禍でリスクを避けるために営業も仮想化した会社が多いわけですが、リモートでの営業活動であっても、営業する側も顧客の側もそれほどの不便は感じないということが、実際のパンデミックでよく分かったということなのでしょう。

この辺の様子は、私が2020年に出版した「世界のニュースを日本人は何も知らない2」に、さらに2021年に出版した「世界のニュースを日本人は何も知らない3」にもはっきりと書いてあります。北米や欧州の場合は、業務の仮想化をコロナ前から日本よりも強烈に推進していました。固定費を削減し業務を効率化して、利益率を高めるためです。

特に医療関係者の場合、パンデミックが始まってからは激務で外部の営業担当に対応する時間が限られているので、感染のリスクも下げられて時間も節約になるオンラインでのミーティングは良いことばかりです。

そして、オンラインで営業活動が可能なのですから、営業担当者を各地に貼り付けておく必要がなくなりました。商品やサービスの説明を受けることが目的なのであれば、オンラインミーティング中に資料などを参照できる方が助かります。わざわざ対面で会う必要がますますなくなります。

北米や欧州北部は、そもそも日本と比べて、コロナ禍以前でも対面での営業やミーティングというものは少なめでした。

日本の場合は、営業やちょっとした訪問、社内の打ち合わせというのが、物事を話し合うというよりは、お互いを良く知って人間関係を作り上げることが目的になっている場合が多いので、やたらめったらと打ち合わせや飲み会が増えるのです。

北米や欧州は、その辺は割とさらっとしていて、日本ほどは頻繁に人間関係作りをしようとしません。

その一方で、ビジネスはビジネスとしてかなり数字で判断をして、ダメならバサッと切ってしまう、利益率がより高くなるような業者に切り替えてしまう、といったことをやってしまいます。その辺は日本とはかなり感覚が異なります。

日本は人間関係を作り上げ維持することが重要なので、多少の融通が利きますし、数字で判断するというよりも、お互いの信頼に沿って商売を進めます。日本式の方が、サービスや商品の品質の保持には有利な点もありますし、不正が発生する可能性も低いといった良いところもあるわけです。

しかし、日本もだんだん北米や欧州のような感覚になってきていますから、コロナ禍を機にファイザーのように、対面での営業やカスタマーサービスをどんどん削減するという可能性は非常に高くなっているでしょう。

そのスピードは、おそらく北米や欧州よりは遅いのではありますが、変化は確実に訪れています。

「本当のDX」を考えるウェブメディア『Modern Times』創刊「本当のDX」を考えるウェブメディア『Modern Times

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。