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昆虫を無線でコントロールする研究をシンガポールで実施する意義

昆虫を無線でコントロールする研究をシンガポールで実施する意義

Why do we need the cyborg insect?

2022.02.24

Updated by Schrodinger on February 24, 2022, 15:30 pm JST

Micro Vehicle(MV)と呼ばれる、数cmもしくはそれより小さい飛行体や歩行ロボットは、レスキュー・防犯・防衛システムとして魅力的で、広く研究が行われています。多くのMVは、昆虫の飛行・歩行をモデルに開発されてきましたが、操舵性・消費電力・行動範囲といった課題を抱えており、実用化には至っていません。

ナノスケールまで加工技術が発達した現在でも、自然の機械システムに匹敵する小さなロボットを作ることはできていないのです。ただし、昆虫に搭載できるほど小さな電気信号システムを用意して、昆虫の行動に支障を与えずにその神経筋肉系を電気的に刺激することは可能です。

佐藤裕崇先生の研究室は以前から、昆虫の自由飛行・歩行を制御するシステムを構築してきました。また、昆虫の飛行・歩行について解剖学的・生理学的な解析を通して、飛行・歩行を制御するための電気刺激プロトコルを確立し、現在では飛行・歩行の開始、停止、下降、および左右旋廻を行うことができるようになりました。この技術を使って、人を助け・守るための仕組みの実用化を進めているのだそうです。

今回は、この研究の現在の状況とこれからの見通しをお話しいただくと同時に、QS世界ランキング世界12位のNanyang Technological University(NTU:南洋理工大学)で研究者としてだけでなく学長補佐としても働く楽しさやご苦労にも言及していただこうと考えています。(竹田)

募集要項
3月2日(水曜日)19時半開始
昆虫を無線でコントロールする研究をシンガポールで実施する意義

佐藤裕崇(さとう・ひろたか) Nanyang Technological University (NTU) 学長補佐

佐藤裕崇(さとう・ひろたか) Nanyang Technological University (NTU) 学長補佐

2005年 早稲田大学理工学部 博士修了、2007年 University of Michigan 博士研究員、2008年 UC Berkeley 博士研究員、2011年 NTU助教授を経て現職。2020年には大阪大学・客員准教授も兼務。

受賞歴
2019年 MAE Staff Award, Nanyang Technological University (NTU)
2019年 西海記念賞、日刊工業新聞
2018年 最優秀研究賞 表面技術協会
2016年 Teacher of the Year, NTU
2011年 Best Paper Award, NTU
2009年 Best 50 Inventions, TIME Magazine誌
2009年 Top 10 emerging technologies (TR10), MIT Technology Review誌

・日程:2022年3月2日(水曜)19:30-21:30(予定)
・前半は講義、後半は緩い雑談という構成です。「放課後」の気軽さがシュレディンガーの水曜日のコンセプトです。
・Zoomを利用したオンラインイベントです。お申込みいただいた方に参加URLをメールでお送りします。
・参加費:無料
こちらのPeatixのページからお申し込みください。


「シュレディンガーの水曜日」は、毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテータが運営しています。

原正彦(メインキャスター、MC):東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授原正彦(メインコメンテータ、MC):東京工業大学・物質理工学院・応用化学系 教授
1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。

今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授
武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。

増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授
東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。

竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人
日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997〜2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来 自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。

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