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土谷 浩一 (つちや・こういち)

美しさが物性に直結する合金の面白さ、形状記憶合金からコバルト・クロム合金へ

the world of alloys where beauty is directly linked to its characteristics

2022.05.23

Updated by Schrodinger on May 23, 2022, 10:22 am JST

土谷さんが形状記憶合金に興味を持つきっかけになったのは、その「美しさ」にありました。光学顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察した時の(合金の)表面起伏の幾何学模様、積層欠陥による整然とした縞模様などに魅了されたのだそうです。そして、米国の大学での博士課程を経て、1991年に北大で丸山健三郎先生の元で銅系形状記憶合金の研究に従事することになります。

MITの鉄鋼材料の大家であるモーリス・コーエン(Morris Cohen)は、構造材料の生成について、製造プロセス(process)→ 材料組織(structure)→ 特性(property)→ 性能(performance)という因果関係を提示しています。つまり、製造プロセスが組織を造り、組織が特性を決め、特性が性能を決めるわけですが、当然、中心になるのが材料組織(structure)で、土谷さんはこの組織の美しさがそのまま特性に結びついてるところに惹かれたのです。

美しさが物性に直結する合金の面白さ、形状記憶合金からコバルト・クロム合金へ

構造材料が面白いのは、まずはその守備範囲の広さでしょう。大きさでいえば鉄筋コンクリートからステント(stent:血管内を拡張するための小さな金属のチューブ)のような小さなものまで、温度でいえば火力発電所の高熱から水素ステーションのような極低温まで、すべて構造材料がその性能を規定しています。強度、長期的信頼性、耐久性が高いレベルでバランスするかどうかはすべて構造材料が決めている、といっても過言ではありません。社会の最も基本的な安全性能は構造材料次第なのかもしれません。

美しさが物性に直結する合金の面白さ、形状記憶合金からコバルト・クロム合金へ

もう一つのユニークな点は、意外にも多くの発掘されていない可能性を秘めている分野だ、ということでしょうか。鉄筋コンクリートでさえ、まだまだ未開発の部分が多いのだそうです。土谷さん自身も、現在はコバルト・クロム合金や高エントロピー合金の可能性をさらに広げるべく研究開発に従事されています。

「美しさ」は、実は自然科学における重要な要素です。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「善いものはすべて美しく、美しいもので均斉のとれていないものはない」といったというエピソードもあります。今回の「シュレディンガーの水曜日」は、「美しさがその特性に直結する合金の世界の面白さ」を土谷さんに語っていただきます。(竹田)

募集要項
5月25日(水曜日)19:30開始
美しさが物性に直結する合金の面白さ、形状記憶合金からコバルト・クロム合金へ

土谷 浩一 (つちや・こういち)土谷 浩一 (つちや・こういち)
物質・材料研究機構(NIMS) グローバル中核部門 若手国際研究センター長、構造材料研究拠点 NIMS特別研究員

1986年北海道大学大学院修士課程修了、1991年ノースウェスタン大学博士課程修了。北海道大学助手、豊橋技術科学大学講師・助教授、ウィーン大学客員教授を経て現職。

・日程:2022年5月25日(水曜)19:30から45分間の講義(その後、参加自由の雑談になります)
・Zoomを利用したオンラインイベントです。申し込みいただいた方にURLをお送りします。
・参加費:無料
・お申し込み:こちらのPeatixのページからお申し込みください。


「シュレディンガーの水曜日」は、毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテータが運営しています。

原正彦(メインキャスター、MC):東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授原正彦(メインコメンテータ、MC):東京工業大学・物質理工学院・応用化学系 教授
1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。

今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授
武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。

増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授
東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。

竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人
日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997〜2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来 自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。

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