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Twitterで考える内部統制

Think about Internal Control from Twitter's layoffs

2022.11.11

Updated by Mayumi Tanimoto on November 11, 2022, 11:46 am JST

Twitterの突然の大量解雇が日本や国外でも大変な話題ですが、内部統制とプロセス管理の点でとても気になることがいくつかあります。

多くのユーザーが、大量解雇の途端にタイムラインの内容が激変した、トレンドが激変した、そしてニューストピックが止まったままになっていると指摘しています。確かにこれは、私のTwitterも同様で、おすすめには自分が登録しているHR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)やダンジョンズ&ドラゴンズ、テクノロジー系のツイートが突然どんどん表示されるようになりました。

フォローしているはずの経済学者や地理学者のツイートも久々にみかけました。フォローは外していないので、彼らのツイートをなぜ見ることができなかったのか分かりません。

それまでは、自分が全く興味がなくフォローもしていないインフルエンサーや商品、政治家のツイートなどが表示されていたのです。しかも、私が最も興味がない韓国アイドルやラップのジャンルが表示されるので困っていました。OzzyやJudas Priestのメンバーの体調が気になるので、好きなバンドのツイートはおすすめで表示されないと困るのです。

また、大量にフォローしているはずの医学系や大学の出版社、AI、ソフトウエア開発、経済学者、神経科学、脳科学、感染症、内分泌といった分野の医師や地理学者、ウクライナ関連の専門家や現地にいる人のツイートも全然でてきませんでした。確かにニューストピックは11月1日や3日の更新で止まっています。

さて、そこで自分の専門の一つである内部統制とプロセス管理の視点からの疑問です。


AI、システムによる自動化はされていたのか?

通常ある程度の規模の企業であれば、ユーザーへのおすすめなどの表示は自動化されており、パラメーターが設定されています。人がいなくなったから実行されなくなるということは、工程がかなり自動化されているはずの自動車工場で退職者が出たら製造ラインが止まるのと同じです。ネットバンキングでいえば、貯金の利子が更新されなくなるようなものです。

Twitterは、ニューストピックや優先的に表示されるツイート、おすすめで表示されるツイートの選択を手動でやっていたのでしょうか?


変更管理プロセスはどうなっていたのか?

ある程度の規模の企業なら、システムの設定は記録され、変更は変更管理(change management)のプロセスを経て管理されます。変更内容の審査や承認は、変更管理委員会を通ることになっており、場合によっては技術レビューも入り、事前テスト、変更後確認などのプロセスもあります。変更ログは変更管理者が管理し、定期的な監査があるはずです。

例:日本ネットワークセキュリティ協会 システム変更管理規程

リスク管理の観点から、プロセスは退職者が出ても影響がないように設計されているはずです。人がいなくなってもプロセスに問題がないように考えておくのが変更管理の基本です。また、変更された設定は、再度変更しない限り変わらないので、システムはそのまま動くはずです。

これは、当然、災害や紛争も想定します。

Twitterのタイムライン、トレンドなどには変更管理はなかったのでしょうか?

また、そもそものタイムラインやトレンドの運用プロセスはどうなっていたのでしょうか?

最終承認者が誰なのか、また設定の変更について顧客である広告主への報告があったのかも気になります。設定の基準がどのようなもので、これらは顧客である広告主や株主には共有されているのでしょうか? 気になることばかりなのです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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