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ものづくりの豊かさを多くの人に開いていくために

2023.02.13

Updated by WirelessWire News編集部 on February 13, 2023, 07:15 am JST

間口を広げなければ新たなものづくり人は現れない

日本の建築・都市の基層をなす大工等の「ものづくり人」の世界。それが持続不可能なほどに痩せ細っている。みんな気づいている筈なのに、有効な手を打てずにいる。

私が考えていることが有効な手に繋がるかどうかは心もとないものの、試してみるしかないだろう。それは、建築・都市に関わるものづくり人の世界のあちらこちらに歓迎の扉を設けて、女性や、DIY好きの素人や、色々な年齢層の人や、様々な国籍の人に開いていくこと。10代に職人になったら一生職人だと決めつけずに、あちらこちらの扉からの出入りも自由にしていくこと。

従来「俺がプロの職人」と自負し、「これこそが職人」というような固定的なものづくり人像を掲げてきた方々には、すんなりと受け入れてもらえないかもしれないが、とにかくものづくりの豊かさを多くの人に開いていくことが肝心だ。その中からは「これこそが職人」というものづくり人も現れるだろうし、これまで見たこともないような自由を獲得したものづくり人も出てくるだろう。私はそう考えている。

そんな考えに肉づけをしていくために、前回は16名の女性大工の方々の話、特に彼女たちがなぜ大工になりたいと思い、どのようにこの世界に入ってきたのか、その経験談に耳を傾けた。

聞き手である私が強く印象づけられたのは、彼女たちのポジティブさだった。具体的には、ものづくり人の仲間に加わることを「カッコいい」という感想に代表されるように、肯定的に捉える感性が豊かに存在していることに、心動かされた。それでは、実際に入ってみたものづくり人の世界は、彼女たちにとってどういう世界だったのか。そこには彼女たちが期待する豊かさがあったのか、そしてはたして彼女たちはなりたいものづくり人像に近づいているのか。今回はそのことに的を絞り、再び彼女たちの声に耳を傾けてみたいと思う。

なお、このインタビューは前回と同様に、科学研究費基盤研究(B)「建築現場を担う人材の多様なあり方に関する研究」(課題番号20H02326)の一環として2021年に行った。そして、彼女たちの名前は前回と同じ仮名である。

力がなくても大工仕事はできる

タカヨさんは地元の商業高校卒業後、彼女が中学生の時に他界されたお父さんと同じ大工の道を選んだ。手に職をつけられる仕事だというのが一番の理由だった。当時としてはまだそう多くなかった社員大工の募集を見つけたのも大きかった。それから25年。40代半ばになり、上は中学3年生から下は1歳までの4人の子供を産み育てるタカヨさんは、住宅等の建設現場に入る3~4名の大工チームのサブリーダーとして、後輩大工の指導役や建設現場全体の統括役を務めている。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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