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日本政府はTikTok規制を議論すべき

Japan should discuss TikTok ban

2023.02.27

Updated by Mayumi Tanimoto on February 27, 2023, 18:02 pm JST

昨年12月にアメリカ政府が連邦政府の機器でTikTokの使用を禁止する法律を可決したのに続き、先週はEUでも、職員が職場のスマートフォンだけではなく個人用のデバイスでもTikTokを使用することを禁止しました。

アメリカでは、27の州が連邦政府の規制に類似する規制を実施しています。また、アメリカ議会では、上院議員が国家安全保障の観点から、TikTokをAppleとGoogleのアプリストアから削除することを提唱しています。

それだけではなく、最近では、TikTok自体を全米で禁止すべきとの声も出始めており、フロリダのマルコ・ルビオ議員をはじめとする上院議員が、アメリカの国家安全保障を犯す海外の広告企業及びソーシャルメディアを禁止する法案を提出しています。

この法案では、TikTokの禁止が名指しで指摘されています。実際読んでみると、かなり驚くべき内容で、中国を始めとする外国企業と政府が、ソーシャルメディアによりアメリカに攻撃を仕掛けることが前提になっています。

アメリカの議会における懸念はかなり深刻なものになっており、ソーシャルメディアが世論形成だけではなく、要人やジャーナリスト、軍事機密や科学技術にかかわる人々、一般市民の情報を抜き出し、安全保障を脅かす「兵器である」という前提が当たり前になりつつあります。

3月には、TikTokの幹部がアメリカ議会で証言をする予定ですし、アメリカとEUの動きを受けて、欧州各国でも議論が盛んになっています。

イギリス議会が昨年8月に安全保障上の懸念から公開直後のTikTokアカウントを削除したのに始まり、最近ではEUの決定を受けて、議会や政府機関での使用を禁止すべきと述べる国会議員が出てきており、国家安全保障に関してイギリスは遥かに遅れていると言う批判が増えています。

またフランス議会でも、TikTokの安全保障上の脅威を議会で問いただすべきだとの声が出ています。表現の自由に関してかなりうるさく、安全保障に関しては英米に後れを取ることの多いフランスでこの様な議論が起こるのは極めて異例です。

最近、急激にTikTok規制の声が高まり始めた理由は、TikTokがユーザーのデータを実は中国に送っており、多くのエンジニアが閲覧することが可能だったことを隠していた上に、アメリカ政府に嘘をついていたこと、さらに、ジャーナリストの位置を追跡していたという疑惑が公になったためです。

北米での議論や報道と比べると、日本ではこの問題が全く議論されていないに等しいどころか、アメリカや欧州とは逆方向に向かっているかのようですが、有事が懸念される中で、日本でももう少し真剣な議論が行われるべきでしょう。

国産ソーシャルメディアへの後押しがあって良い気もします。Twitterの先行きが謎なので、今こそmixiが復権しても良さそうな気がするのですがいかがでしょう?

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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