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デジタル分野の新境地の向こう側:その先にある産業と社会の未来

Beyond the New Frontiers of the Digital Field

2023.06.09

Updated by WirelessWire News編集部 on June 9, 2023, 12:58 pm JST

※本稿は、柳橋 達也氏(ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社 最高技術責任者)による寄稿です。

日本では、Society 5.0の取り組みによって産業や社会が劇的に変わってきた。特に今回の新型コロナウイルスの世界的流行によって日本のインダストリー4.0の取り組みが加速している。企業とコミュニティは、将来の創造的破壊に直面できるよう柔軟性を強化する際、その変化に適応するために新しい技術を受け入れる必要がある。

世界を見渡してみると、公共交通機関製造業の企業は、すでにインダストリー4.0の技術を活用している。具体的には、無線やIP/MPLS(Internet Protocol/Multi-Protocol Label Switching)などの技術によって、デジタルの面で業務を変革し、その結果、効率の向上やコスト削減という形でメリットを享受している。

▲鉱業界を代表する大手機械メーカーであるコマツは、鉱山オートメーションのパイオニアでもあり、自律走行運搬システム(AHS)のマーケットリーダーだ。コマツでは、AHSを導入してから13年間で、システム関連の事故や怪我はゼロを記録している。シフトチェンジや休憩のための停車も不要になり、生産性が劇的に向上している。

産業の大規模なデジタル化はまだ初期段階にとどまっているが、その成果はすでに産業や社会に大きな影響を与え始めている。特に、通信サービスプロバイダー(CSP)が提供するネットワークによって推進される継続的な変革によって、イノベーション、コラボレーション、成長のためのさらなる機会が生み出されるだろう。

産業用メタバースで限界を押し上げる

デジタル化によって産業や社会は、物理とデジタルの融合と人間の拡張の時代へと移行している。例えば、産業用メタバースにより、デジタルトランスフォーメーションについての考え方とアプローチに大きな変化が生じ始めている。

リアルタイムのオペレーション機能をシミュレートするデジタルツインを使用すると、産業用メタバースにより、実際に現実で同様のテストを行う前に仮想現実内でテスト可能となり、より安全で持続可能な運用を実現できる。産業用メタバースは、自動化とプロトタイピングの改善に役立つとともに、研究やイノベーションのスピードアップにもつながる。

詳細を詳しく知りたい方はぜひ、ノキアの先端技術センター(ATC)にお越しいただきたい。ここでは、デジタル自動化クラウドや産業用レベルのプライベートワイヤレスのコア・モビリティ・ユニットなどの無線およびプライベート・ワイヤレス・ソリューションが紹介されており、ローカルでの5Gカバレッジが実現され、モバイルでの常時カバレッジが確保されている。このセンターで、これらのソリューションの実験を通じて、より明るい未来がどのように達成されるかを体験することができるだろう。

▲都内にあるノキアの最先端技術センター(ATC)は、エンドツーエンドのローカル5Gシステムを検証するために必要なローカル5G実験試験局免許を取得しており、通信事業者、エンタープライズ企業、インフラ事業者は実際の運用を想定した環境でテストできるため、製品の品質を最大限に高めると共に、市場投入までの期間を短縮することが可能。

オペレーションの次は労働問題に対応

デジタル化は、オペレーション(運用)だけでなく、労働力の劇的な変化にも寄与する。職場での新しいデジタルツールの導入は、潜在的な危険や反復作業から従業員を解放し、従業員の安全と生産性の大幅な向上に役立つ。

日本の企業では、人材不足がますます懸念されている。三菱総合研究所は製造系および事務系の職種で210万人を超える人材が、そして専門的な技術系の職種で170万人の人材が不足すると推定している。この課題に対処するために、デジタルネイティブである次世代にとって魅力的でな技術ツールを提供することで仕事に適したスキル向上を実感してもらう必要があるだろう。

日本政府もこの問題を認識し、スキルアップの取り組みを行っている企業にインセンティブを与え、デジタル化が日本の人手不足を補うものでもあると考えられている。デジタル化は特に高齢化に悩まされている日本には、新たな起爆剤となりうる可能性がある。

また、ここ数年は日本の技術革新のリーダーシップを強固なものにするために新技術の採用に拍車がかかってきた。革新的な製品設計、高い品質基準、高い技能を持つ労働力によって、日本は製造業分野で競争力を維持し続けており、インダストリー4.0が製造業と産業のオペレーションに真に根付くことが必須になる。

日本の製造業は、国内のICT市場の収益の13.1%を占めると予測されており、事業を継続するためには、デジタルトランスフォーメーションで遠隔監視や制御などのソーシャルディスタンス対策を考慮する必要がある。この分野で技術の高度化が継続的に進めば、3Dプリント、ロボット工学や自動化、拡張現実、デジタルツインなどの複雑な操作をリモートで起動することが可能になる。

継続的な成長のためのデジタルトランスフォーメーション

日本は、2018年に「デジタル・ガバメント実行計画」を実行に移し、2022年には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を実施して、デジタルトランスフォーメーションの歩みをさらに加速させ、未来志向のデジタル社会の実現に向けて大きく前進した。そして企業のデジタル化を促すメタバース経済圏も形成されつつある。このデジタルトランスフォーメーションを受け入れることで、日本は経済の回復を加速させ、12年ぶりの高い成長率となる2.4%の成長を予測し、景気をより高い軌道に乗せることができるだろう。

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