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もはや国家権力と変わらない性能を有している民間の地球観測技術

2023.06.15

Updated by WirelessWire News編集部 on June 15, 2023, 10:30 am JST

世界が目撃した虐殺の跡

いつでも地球観測衛星が地球全域を観測して、リアルタイムで地球に何が起きているかという情報を人々が共有する時代。

我々はそんな時代の入り口に生きている。2022年3月、そのことを象徴する出来事があった。ロシアのウクライナ侵攻における、キーウ(キエフ)北方の街ブチャでのロシア軍による住民虐殺である。

2022年2月24日、ロシア軍はウクライナ東方のクリミアとドンバスに加え、北方国境からも侵攻を開始した。首都キーウを短時間に落とすためである。2月27日には、キーウ西北の衛星都市ブチャを制圧。3月30日に撤退するまで、同地はロシア軍の支配下にあった。31日、ロシア撤退後のブチャにウクライナ軍と各国のジャーナリストが入る。彼らが見たのは、路上に放置された多数の住民の遺体だった。

ロシア軍が撤退した。後に遺体が放置されていた。これだけで、なにが起きたかは明白だ。しかし、虐殺の報道に対して、ロシア政府は「遺体は、ロシア軍に罪を着せるためにウクライナ軍が住民を虐殺して路上に置いたのだ」と反論した。

このロシアの主張を明確に否定したのが、衛星画像だった。地球観測衛星を運用する米マクサー・テクノロジーズ社の衛星「ワールドビュー3」衛星が3月11日と19日にブチャを撮影した画像に、路上の遺体が写っていたのだ。

ワールドビュー3は、1ピクセル30cmの分解能で地表を撮影することができる。身長1.8mの成人男子なら6ピクセルで写るわけで、遺体がどんな姿で路上に倒れているかを識別可能だ。ワールドビュー3の取得画像には、ロシア軍撤退直後にブチャに入った西側メディアの撮影した路上の遺体が、全く同じ格好で倒れているのが写っていた。つまり遺体は3月11日、あるいは19日以前に殺害され、そのまま路上に放置されていたのである。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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