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互いの専門性をトリガーとして、新しいアイデアに出会うために STEAM教育の現場から

2023.07.25

Updated by WirelessWire News編集部 on July 25, 2023, 07:13 am JST

科学技術からもっとインスピレーションを得るための模索

ふだん科学技術のコミュニティに属さない、いわば在野の人間たちが、科学技術に何らかの形でアクセスし、インスピレーションを得ることはできるのだろうか。経済が停滞し、研究界・産業界を問わずイノベーションの創出が期待される今、領域や組織、個人を分断せずに多様な知識とスキルを持ち寄り、統合させて問いを立て、解決に取り組む、科学・技術・工学・アート・数学を横断するSTEAM人材育成の有用性が世界で注目されている(J. Marshall 2015, Studies in Art Education)。

しかし、そもそも科学とは何なのか、はたまたアートとはなんなのか。科学技術の形式知とアートの暗黙知を活かす、ということがいわれるが、それらを組み合わせて活用すると創造的なアイデアが本当に生まれるのだろうか。それは誰にもわからず、模索状態にある。

活動の例を挙げよう。東京工業大学と武蔵野美術大学が協力して開催する合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング」は、今年で第10回記念を迎えた。これは一週間の集中型ワークショップで、一つのテーマから、グループごとに議論によってコンセプトを構築し、造形デザインを作る。

「うまい、へた」を問うものではなく、「アイディアが形になるまで」の、さまざまな可能性、発見、試行錯誤、見落としている大切なものを、異分野を専門とする学生たちが協働しながら見つけ、すくいとっていくことを目的としている。

東工大の学生と武蔵野美大の学生が、どちらが教える側・学ぶ側でもなく、対等な立場で議論し、合意形成とものづくり、プレゼンまでもっていくところを売りにしている。テーマにはあえて抽象的なもの、それぞれの分野から異なる面にアクセスできるような、多面的なものを選んでいる。

例えば、2014年のお題は「オトナとコドモをつなぐもの」だった。両大学からの教員陣が交代でミニレクチャーを行い、デザイン思考、美術思考、コミュニケーション、科学、工学などから情報を提供し考えさせる。グループメンバーはアイスブレイク後、話し合いを開始する。

彼らの創造的なアイデアのトリガーになる情報は、雑多な異分野グループでの議論の、いったいどこに潜んでいるだろうか。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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