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AIベンダーを活用しきれずPoCに失敗していないか?

2024.08.27

Updated by WirelessWire News編集部 on August 27, 2024, 11:00 am JST

AIを使うことによってかつてよりも容易に行われるようになったPoC(Proof of Concept:概念実証)だが、残念ながら失敗に終わってしまうこともある。しかし実は、失敗に終わるケースにはパターンがあり、事前に知っておけばある程度の回避が可能だ。ここでは委託する側が陥りがちな失敗のパターンを紹介しよう。

その1:AIベンダー側に開発力が不足している

AI開発を専門としない人々には全てのAIベンダーが高度な技術力を持つように見えるかもしれないが、実際はそうではない。AI開発には、深いドメイン知識に加えて、高度な開発スキルが必須である。開発力が不足している、または経験が浅いAIベンダーは、プロジェクトの初期段階で間違ったアプローチをしてしまい、失敗に至ることが多い。そのため、AIベンダーを選定する際には、そのドメインでの案件経験を確認することが重要である。

例えば、私が専門とする放射線分野では、DICOM形式と呼ばれるデータを適切に前処理することが必要であり、この前処理を怠ると、どんなに大きなAIモデルを使用しても、性能の大幅な向上は期待できないことが多い。ドメイン知識の理解がいかに重要かを示す好例だ。

また、プログラミング・スキルなどの技術力不足によって失敗するケースも多い。開発メンバーが経験不足であることが一因として挙げられる。技術力の有無でエンジニアの生産性は大きく異なる。技術力が足りないエンジニアをアサインされてしまうと、開発費用が増加する一方で、成果物が得られないことがある。技術力を確認するためには、最新のAI技術トレンドや技術的な質問をしてベンダーの技術力を見極めることが必要だ。

その2:AIベンダーに案件を任せきりにする

継続的な取引をしているAIベンダーに対しては案件を任せてしまうことがあるが、基本的に丸投げはリスクが高い。AIベンダーはそのドメインの専門家ではないため、常に課題を明確にしておく必要がある。

これを怠ると、AIベンダーが課題を特定するために多くの時間を要し、結果的に開発費用が増加する。さらに、不明瞭な課題から生まれた成果物は期待と異なるものとなり、トラブルの原因となることがある。このような状況を避けるためには、ドメイン知識や課題について依頼者自身が把握し、AIに関する知識もある程度身に付けておくことが望ましい。

その3:学習データが不足している

生成AIを利用したプロジェクトであっても、評価のためには一定のデータが必要である。データがない状態でプロジェクトを開始することもあるが、その場合は、AIが膨大なデータから正しい条件に基づいて「正解」を選ぶことができるかどうか確認することが重要である。多くのAI開発ではドメイン知識が必要とされ、どのようなデータが必要かを明確にすることが求められる。データなしにはモデルの構築は不可能であり、生成AIを活用するためには評価用のデータは必須である。従って、必要なデータについて理解を深め、準備することが大切である。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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