人類はAIを使いこなすことができるのか?これからの人間に最も必要な資質
2025.02.06
Updated by Ryo Shimizu on February 6, 2025, 09:05 am JST
2025.02.06
Updated by Ryo Shimizu on February 6, 2025, 09:05 am JST
o3-miniが衝撃的である。
o1 pro modeもなかなかすごかったが、o3-miniの衝撃はそれを上回る。DeepSeekが霞むほどだ。まあすぐにキャッチアップしてくれると思うが。
o3-miniの凄さというのは、人智を超えるところにある。
例えば、超立方体という概念がある。これは、三次元の立方体という概念を四次元に拡張したものだ。
超立方体の描画は、ちょっとしたプログラマーなら誰でも書くことができる。これを書けない人を一人前のプログラマーとは呼びにくい。
超立方体はハイパーキューブとも言う。
さて、とはいえ四次元の立方体を回転させようとすると、回転軸が二軸あることに驚く。三次元物体の回転軸は一本しかないが、四次元では二本になる。
さて、では五次元立方体はどうだろうか。
五次元になった途端、その振る舞いは想像を絶する。やりたくない。それが普通の人の考えである。
なぜなら、たとえ五次元立方体が描けたとしても、実際に描画されるのは、五次元立方体の四次元断面の三次元断面の二次元(画面)投影でしかない。
五次元の本質がこれでわかるわけではないのだ。
でもo3-miniに言わせば、三次元でも四次元でも、もちろん五次元でも関係ない。
六次元も同様だ。
こんなプログラムを書けると思ったことも、書こうと思ったこともない。
けれども、筆者が小学生だったら、興味の向くままに「10次元の立方体ってどんな形なんだろう」と思うだろう。それはo3-miniによって一瞬にして示される。
こんなことはかつてなかった。
これは明らかに、筆者自身のプログラミング能力を大きく超える性能である。
一般人工知能の定義は人によって異なるが、筆者個人から見て、もはやo3-miniは筆者自身の能力を超えている。
シンギュラリティは始まっているのだ。
o3-miniにプロンプトを出して、それをコピペして実行するのが面倒になったので、それ自体を自動化させたら、それもできてしまった。
これが衝撃的でなくてなんだろうか。
子供の頃に思い描いていた、夢のようなプログラムが次々と生成される。
これを使うのに月額200ドルは、安すぎると感じるほどだ。
もはや人間のプログラマーは急速に存在意義を失う。
ついでに、返す刀で、Qwen2.5-1Mというモデルを試した。これは100万トークンのコンテキストを処理可能な初のオープンソースモデルである。
これはA100 80GBx4くらいのマシンが必要にな。我がFreeAI社の社長たるスーパーコンピュータ、継之助の約半分のスペックを必要とする。ちなみに、1.58ビット量子化版の6710億フルパラメータのDeepSeek-R1は、継之助の1/4の能力で運用できる。控えめに言って驚異的だ。
こいつに、勝手に小説を書いて、書かれた小説を批判してもっと洗練させろという命令を出しつづけるプログラムをo3-miniに書かせたら、勝手にそれをやり続けるプログラムができた。
o3-mini、DeepSeek-R1、Qwen2.5-1Mの三つを繋ぎ合わせるだけで、無限に色々なことができそうな気さえしてくる。
戯れにo3-miniに「サバイバー系ゲーム作って」と言ったら作れちゃったし。
マインクラフトのクローンさえも作ることができる。なんだこりゃ、という感じだ。
o3-miniを使ったハッカソンをo3-mini発表の当日に決定し、二日後に開催したが、この時明らかになったのは、o3-miniといえど、それを使って「何を作るか」ということは、使用者の感性と教養に激しく依存することだ。
実は生成AIブームが始まった頃から思っていたが、AIを使いこなすのに最も必要なのは教養である。
これからの時代、人間にとって最も重要な資質は、教養ということになる。
ではいかに教養を身につけるか。
大学にもう一度通うとか、図書館に入り浸るとか、カルチャースクールに通うとか、とにかく教養を高める努力が最も重要になるだろう。
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登録はこちら新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。