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AIで授業の個別化をすすめるイギリスの小学校

UK elementary schools to promote individual learning wit AI

2022.10.31

Updated by Mayumi Tanimoto on October 31, 2022, 12:20 pm JST

AI の教育利用は日本ではまだ議論されていませんが、驚くべきことにイギリスでは既に導入が始まっています。

例えば私が最近驚いたのは、自分の子供の学校では各児童向けにレベル別の課題を出しているのですが、クラスでレベル別に分けて指導する他に、AIを使ったオンラインのシステムで個別指導が行われるようになっていることです。

児童がある程度の数の問題を解くと、AIによって理解度や進み具合が判断され、回答に使われた時間や答えを記入する際の文章の癖なども分析されます。結果は統計化され、教員と保護者に通知されます。教員はそのデータを元にさらなる教育計画を立て、一人ひとりの学習がうまく進むように指導するという仕組みになっています。

対面の授業や指導はまだ主流ですが、ある程度の数の演習をこなし理解度を検証するという労働集約的な作業をAIにやらせて、教員はもっと戦略的な学習計画を作成することに時間を使います。非常に労働効率を高める良い方法だと感心しました。宿題の一部もAIが判断して自動的に出すのです。

イギリスの学校は、これを小学校の低学年から導入しているわけです。

さらに、学校の授業のことで個別指導が必要な場合は、システムから家庭教師を雇い、オンラインで指導を受けられるようになっています。蓄積された講師のデータから生徒の弱い部分を補強するようになっているので、非常に効率が良いです。

このような学習方法がどんどん導入されてきているので、イギリスでは日本のように書店に問題集がずらっと並んでいるということはありません。

バッキンガム大学のAnthony Seldon卿は、今後10年以内にこのようなテクノロジーの導入というのは教育を根本的に変えることを予測しています。教員は教室に様々な機器や環境を設定し、生徒は個別にカスタマイズされた教育を受け、教員は彼らのアシスタントのような立場になるというのです。

少し前ですと、このような意見は過激という捉え方をされましたが、今ではそうではありません。

コロナ禍でオンライン教育を導入する学校が増え、集中的に作成された教育コンテンツを多くの生徒や学校に配信し、AIによって個別の授業をカスタム化するというやり方がかなり効率が良い、ということに気がついたのが、教員だけではなく保護者にも多いからでしょう。

日本の学校のオンライン教育というのは、未だにただ単に授業を動画で配信したり、何のシステムを導入するかということの議論に止まっているので、北米や欧州に比べると20年ほど遅れている印象です。このイギリスの例のように小学校レベルでもAIを活用した教育の個別化がどんどん進んでいますから、日本でも議論を進めるべきでしょう。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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