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夢の中でひらめきが生まれる? 睡眠中に発想力を高める「夢エンジニアリング」の可能性

夢の中でひらめきが生まれる? 睡眠中に発想力を高める「夢エンジニアリング」の可能性

March 18, 2026

中村 航 wataru_nakamura

1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。

眠っている間の夢をうまく利用すると、創造的な問題解決の力が高まる可能性がある――。米ノースウェスタン大学などの研究チームが、睡眠中の夢と発想力の関係を調べた研究を発表した。夢を見ている最中に特定の音を聞かせると、その音に関連する問題を夢の中で考えやすくなり、起床後の問題解決率が高まる傾向が確認されたという。

「一晩寝たら良いアイデアが浮かんだ」という経験は多くの人が持っている。睡眠中、脳は記憶を整理し、新しい発想を生み出すと考えられているが、夢が創造的な問題解決にどのように関わるのかは十分に検証されてこなかった。そこで研究チームは、夢の内容に影響を与える「夢エンジニアリング」と呼ばれる手法を用いて、その効果を調べた。

実験ではまず、参加者に創造的な発想が必要なパズルを解かせた。各パズルにはそれぞれ異なる音が割り当てられており、問題と音が結び付くようにした。その後、参加者が眠り、夢を見やすい「REM睡眠」と呼ばれる段階に入ると、研究者はその音を流した。音をきっかけに、夢の中で対応するパズルについて考えるよう誘導する仕組みである。

参加者には、夢の中で「夢を見ている」と自覚できる「明晰夢(めいせきむ)」を比較的見やすい人が選ばれた。夢の中で自分の状態に気づくことで、研究者の指示を思い出し、課題について考えやすくするためだ。実験の結果、夢の中でパズルに関連する内容を思い出した場合、問題の解決率は約42%となり、夢に出てこなかった場合の約17%より高い傾向が見られた。

研究チームは、睡眠中の夢が単なる幻想ではなく、脳が問題を処理し新しい発想を生み出す場になっている可能性を示す結果だとしている。将来的には、創造的な仕事や学習を支援する方法の開発につながる可能性もある。ただし、夢の誘導技術はまだ研究段階であり、実際の応用にはさらなる検証が必要だとしている。
(中村 航/翻訳家)

参照
Scientists use “dream engineering” to boost creative problem-solving during REM sleep
Creative problem-solving after experimentally provoking dreams of unsolved puzzles during REM sleep | Neuroscience of Consciousness | Oxford Academic
Dream engineering may improve creative problem-solving

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