T-モバイル（T-Mobile）のジョン・レジャー（John Legere）CEOら幹部が、競合するAT&Tが「CES 2014」にあわせてラスベガスで開いた開発者向けのパーティーに潜り込んだものの、CNET記者のツイートからこのことが発覚し、結局会場から追い出されたという話が複数の媒体で報じられている。

CNETで携帯通信分野をカバーするロジャー・チェン記者（Roger Cheng、発覚のきっかけとなったツイートをした人物）は、事の顛末を次のように記している。

パーティーが行なわれた米国時間6日の晩、チェン記者は、パーティ会場の入り口でレジャーCEOならびに同社のブラクストン・カーター（Braxton Carter）CFOらに遭遇。レジャー氏は仕事柄面識のあったチェン記者に、このパーティーで予定されていたマックルモアー（Macklemore）とライアン・ルイス（Ryan Lewis）のパフォーマンスを見に来たと語ったという。一行は問題なくパーティーに潜り込むことができたが、チェン記者がツィッターにレジャー氏とのパーティーでの写真（下掲）を投稿すると、その後しばらくして警備員が駆けつけ、レジェレ氏らを外に連れ出した。なお、レジャー氏はこの晩、黒のレザージャケットの下に、同氏のトレードマークとなったT-モバイル・ロゴ入りのピンクのTシャツを着用していたという。

[CNET]

T-モバイルは昨年から「uncarrier」（脱通信キャリア化）のスローガンを掲げ、長期契約の廃止や、端末代金割引の廃止と分割支払い方式の導入、海外ローミングサービスの無料化などの施策を繰り出した結果、2四半期続けて新規加入者の大幅増加を記録。またレジャー氏の歯に衣着せぬ物言いやおよそCEOらしからぬいでたちなども相まって、このところメディアでの存在感が格段に高まっている。

そんなT-モバイルが目下の標的としているのが、同じ通信方式を採用する業界第2位のAT&Tで、同社が年明けにT-モバイル加入者だけを対象にした乗り換えキャンペーン（中途解約費用と端末下取りを含め、最大450ドルをクレジットの形を提供するという内容）を発表した際にも、レジャー氏は「AT&Tの悪あがき」（"a desperate move by AT&T..."）、「（賄賂を使って乗り換えさせようとしても）消費者は騙されないだろう」（ "Consumers won't be fooled. ..."）などと述べていた。さらにレジャー氏はTwitterで、AT&Tのランドール・シティーブンソンCEOを名指しする形で、「われわれはAT&Tから（買収失敗の違約金として）もらった現金と周波数帯を使いながら、Uncarrier戦略でAT&Tの加入者を奪った。T-モバイルに流れた顧客を奪い返せるとほんとうに思っているのか？」とコメントしていたことなども報じられていた｡

これに対し、AT&T側では携帯通信事業（AT&T Mobility）責任者のラルフ・デラ・ベガ（Ralph de la Vega）CEOが、「T-モバイルは口先だけ」「T-モバイルには料金値下げという選択肢しかない」などと応酬。また、これまでT-モバイルが提供していたアウディ（Audi、自動車メーカー）の車載情報システムに関する通信サービスをAT&Tが獲得したことなども発表していた。

T-モバイルでは8日に"Uncarrier 4.0"と題した記者向けイベントを予定しており、このなかでどのような施策が発表されるかが注目される。

【参照情報】
・How I got T-Mobile's CEO kicked out of AT&T's CES party - CNET
・T-Mobile CEO on Being Thrown Out of AT&T's Party: "I Just Wanted to Hear Macklemore" - Re/code
・T-Mobile CEO Legere Escorted Out of AT&T Party in Las Vegas - Bloomberg
・AT&T kicks T-Mobile CEO out of its CES party - Reuters
・T-Mobile CEO Calls AT&T's Bid to Poach His Customers a "Desperate Move" - Re/code
・T-Mobile's John Legere is the most exciting telecom CEO, well, ever - QUARTZ
・AT&T's Ralph De La Vega on T-Mobile, Toll-Free Data and More - Re/code