長距離データ通信網を運営するレベル3コミュニケーションズ（Level 3 Communications：以下、レベル3）は現地時間16日、法人向けなどにインターネットサービスを提供するTWテレコム（TW telecom）の買収を発表した。買収額は57億ドル（1株あたり40.86ドル）で、完了後にレベル3が引き継ぐTWテレコムの債務16億ドルを合わせると、買収総額は73億ドルとなるという。

TWテレコムは、1993年にタイム・ワーナー（Time Warner）と当時の長距離通信事業者USウェスト（US West）が立ち上げたジョイントベンチャー。米国内で主に法人向けの電話・通信サービスを提供しており、全米の2万以上の商業ビルを光ファイバー・ネットワークでつないでいるという。レベル3は、いわゆるバックボーン回線の運営を手がけ、顧客のなかには大手動画ストリーミング・サービスのネットフリックス（Netflix）などが含まれる。

両社の売上は合わせて79億ドル（2014年3月末までの1年間）で、利益は同1億1400万ドル。債務は合わせて115億ドル、現金保有高は4億3100万ドルになる。レベル3によれば、今回の買収によって見込まれる両社のシナジー効果は毎年2億4000万ドルで、これによって負債比率の縮小が期待されるという。

既報の通り、米国では現在、コムキャスト（Comcast）によるタイムワーナー・ケーブル（Time Warner Cable、TWC）の買収（買収予定金額は約450億ドル）、そしてAT&TのディレクTV（DirecTV）買収（同約485億ドル）と、通信・放送分野だけでも2件の大型買収計画が持ち上がっている。また、スプリント（Sprint）による米T-モバイル（T-Mobile USA）との合併向けた交渉も進んでいるとされ、大規模な業界再編の動きがさらに進んでいる。

[Level 3 to Buy TW Telecom in Deal Valued at $5.7B - Bloomberg TV]

【参照情報】
・Level 3 to buy tw telecom to expand US fiber network - Reuters
・Level 3 Agrees to Buy TW Telecom in $5.7 Billion Deal - Bloomberg
・Level 3 to Buy TW Telecom for $5.7 Billion - NYTimes