アップル（Apple）が今月なかばにリリースしたiOS 8で、ユーザーがiOS端末内に保存したデータを同社自身や警察などの捜査当局でも解読できないようにしたことは既報の通りで、またその直後にはグーグル（Google）でも同様の施策を「Android L」から講じる考えを明らかにしていたが、これらの動きに対して米連邦捜査局（FBI）のジェームズ・コメイ（James Comey）長官が米国時間25日、捜査の妨げになるなどとする懸念を表明したという。

同長官は、誘拐やテロ行為など人命が関わる例に触れながら、新たなプライバシー保護策により、端末のユーザー自身がパスコードを明らかにしなければ、捜査当局では必要な情報の確保も難しくなるなどと指摘。さらに、そうした機能をアップルやグーグルが明示的に売り込もうとしている点を批難したという。

米国などでは、昨年半ばに米国家安全保障局（NSA）による広汎な情報収集活動
の実態が明らかになって以降、テクノロジー関連企業に対してユーザーのプライバシー保護策の強化を求める声がとくに高まっていた。アップルやグーグルの動きはこうしたユーザーの声を受けたもので、アップルのティム・クック（Tim Cook）CEOは自社のユーザープライバシーに関する方針を説明したメッセージのなかで、「どこかの国の政府機関に協力するために、自社の製品やサービスにバックドアを設けたことは過去に一度もない。自社のサーバーへのアクセスを許したこともない。そしてそうしたことは今後もいっさいない」などと述べていた。

この話題を採り上げたThe Vergeでは、捜査令状や召喚状といった捜査にあたって必要とされる書類の発行に関する手続きにこれまでずさんなところがあり、アップルが新たな施策を講じたのも、そうした捜査当局の権利濫用を防ぐことが最大の目的だったなどと指摘している。

【参照情報】
・FBI director blasts Apple and Google for offering encryption - The Verge
http://www.theverge.com/2014/9/25/6845261/fbi-director-blasts-apple-and-google-for-offering-encryption
・FBI Director Raises Concerns About Smartphone-Security Plans - WSJ
・A message from Tim Cook about Apple's commitment to your privacy. - Apple